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6月20日 18時0分
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第1次通告は受け取った - 広木隆「ストラテジーレポート」

バーナンキのメッセージに敬意を示した米国市場

台風4号の接近で梅雨前線が活発化、広い範囲で雨模様となっている。列島は梅雨まっただ中である。

死は一度 梅には梅のはなが咲き 雨の降る日は天気が悪い   (小島ゆかり)

この歌を詠んだ歌人の小島ゆかりさんによると、「雨の降る日は天気が悪い」というのは、ことわざだそうで、その意味するところは、「当然のこと、わかりきったこと」。

FOMC後の記者会見で米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、年内に証券購入のペースを緩める可能性があるとしたほか、2014年半ばごろに購入を終了する可能性があるとも述べた。これを受けてNYダウは200ドルを超える下げとなり、ドル円は一時97円をつけるなどドル高円安に振れた。バーナンキ議長の発言が、市場の想定以上にややタカ派的なトーンだったことが意外感をもって受け止められた、とする解説が多い。

米国景気の改善ペース次第で量的緩和の縮小があるというのは、当然のこと、わかりきったことではなかったか。今回、初めて(漠然としたものではあったが)時期について言及したのがサプライズだという指摘もあるが、年内縮小の可能性は市場でさんざん取り沙汰されてきたことだから、「意外」「サプライズ」というのは的外れだろう。

バーナンキ議長は、年後半からの量的緩和縮小はFOMCの「コンセンサス(合意)」だという正式なメッセージを市場に送った。そして市場はそれを受け取ったということを態度で示したのだ。市場は驚いたのではない。当然の反応を示したまでだ。市場では中央銀行や政府のアクションに対して「敬意を示す」ということがよくある。量的緩和を縮小するよ、というメッセージをバーナンキ議長が正式に表明した。それに対して市場が無反応では失礼というものだ。ダウが200ドル超下げ、ドル円が1円、ドル高円安に動く。市場からの返礼である。「第1次通告、確かに受け取りました」と。それが昨日の米国市場のリアクションだと思う。

量的緩和縮小は日本株にとって好材料

東京市場の反応はどうか。日経平均は一時1万3000円割れまで売り込まれる場面があったものの、結局引け値では1万3000円を維持して終えた。今週の株式市場はFOMCを控えて見送り気分が強く、東証1部の売買代金は月曜、火曜と2兆円割れが続いた。日経平均の終値は月曜日が1万3033円、火曜日が1万3007円。日経平均は昨日237円上げて、今日はその分をそっくり吐き出す230円安。終値は1万3014円で、結局、FOMCの前の水準に戻っただけだ。

主力株は比較的堅調でTOPIXコア30の下落率は1.2%。これは日経平均に換算すれば150円安程度。午後に下げ幅を拡大したが午前中はしっかりで一時は前日比プラスになる場面もあったほどだ。

この程度なのだ。NYダウ平均の200ドル安に「敬意を表して」連れ安してみたものの、かたやドル円は97円台だ。売り込んでばかりいられない。そもそも米国景気の回復を前提として量的緩和が縮小されるならば、それはドル高という日本株にとってポジティな材料を提供してくれることにほかならない。日本株がここで売られるほうが不思議なくらいである。

今日の下げは、一応、米国株安(=リスクオフ)に連れ安してみせたのと、5月下旬以来の調整が続いていること(特に5月以降の木曜日が7週連続で下落となっている「暗黒の木曜日」のジンクスが意識されたのかもしれない)に加えて、6月のHSBC製造業PMIが予想以上の落ち込みとなったことなどが絡みあっての下落だろうと思われる。

インドルピーが過去最安値を更新するなど新興国からの資金流出が顕著に意識されてきた。このあたりの「気持ち悪さ」が相場の重石となったようだ。
今後の相場見通し

前回のレポートで、裁定取引や高速高頻度取引が相場の下げを主導しているのではないと述べた。「それなら何が相場下落の要因だと考えるのか自分の見通しを示せ」とのご意見をいただいた。

僕のレポートの読者のなかには、毎回欠かさず継続的にお読み下さっている方も、たくさんおられることは、もちろん認識している。それでも、こうしてインターネットで誰もが読める形式をとっていて、かつマネックス証券に口座をお持ちでない方は、バックナンバーが読めないのだから、僕が過去にどういう見通しを述べてきたかご存じないのだろう。

僕は今回の下げは、一本調子で上がり続けたことに対する自律調整の域を出ないと考えている。

さらにお伝えすると、僕は日経新聞社が主催する「日経平均ダービー」という月末の日経平均の値を予想するという「当てッこゲーム」に駆り出されている関係で、毎月末に翌月末の予想値を出している。先月末に提示した6月末の日経平均の予想は1万3500円である。目先の底値は、概ねつけたと考える。テクニカル面、バリュエーション面などから値幅の調整はじゅうぶんである。しかし、これだけ大きな値幅の調整をすると、しばらく日柄調整に時間がかかるというのが従来からの主張である。

7月に入れば、「参院選後」を意識して再び上昇基調に回帰するものと考える。7月下旬から始まる第1四半期の決算発表も改めて企業業績の改善期待に目を向けさせる要因となるだろう。

バックナンバーをお読みになれない方のために。
僕はFRBによる出口政策の検討が相場にとって最大のリスクと述べてきた。3月4日に書いたレポートである。(『遠慮近憂 - 相場の終わりを意識する 正しいバブルの踊り方』ご参照)

日経平均が1万5000円の大台を超えた翌日5月16日に出演したテレビ東京ニュースモーニングサテライトでもそのリスクを指摘した。この相場で気をつけるべき点を聞かれた僕は、FRBの量的緩和縮小の議論による混乱に注意すべきだと答えている。モーニングサテライトのウェブサイトにその時の動画がアーカイブされているので確認してほしい。(「モーニングサテライト」と検索→特集・企画のタブ→特集→特集アーカイブの下の日付プルダウンを2013年5月に→「5月16日 日経平均 年度内に1万8,000円も」 )
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/feature/post_41332/


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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