雇い主はメイド税を払わねばならないが、後で税額の2倍相当が戻ってくる優遇税制もある。その他、子ども1人当たり課税所得の15%を控除する「子どもを持つワーキングマザー控除」もある。シンガポールでメイドを雇うワーキングマザーの課税所得はほぼゼロに近い、という話もあながち嘘ではない。

 日本では、保育園の待機児童をゼロにした「横浜方式」が話題だが、施設を増強するだけでなく、低コストな外国人メイドを活用するという選択肢もある。子どもを日本で育てながらバイリンガルにできるし、安倍首相の「女性労働力活用」にも弾みがつくのではないか。

アジアの活力導入で
日本の住宅も伸びる

 ジョホールバルには主にシンガポールで働く多様な国籍の人々が移り住んでいた。シンガポールの猛烈な建設ラッシュがこの地の広い海岸線一帯に溢れてきた感じで、そのエネルギーに圧倒された。ちなみに、ジョホール一帯で話されている言葉はシングリッシュ(シンガポール英語)であり、クアラルンプールあたりのマングリッシュ(マレーシア英語)ではない。

 いまや、日本もシンガポールもマレーシアも、建てられているマンションの質や機能自体に大きな差はない。違っているのは暮らしを支える社会の仕組みであり、多様な人々が流動して生まれる活気である。

 2050年にはASEAN+日中韓の東アジアが、世界のGDPの約半分を占めるようになると予測されている。

 この活力を積極的に取り入れたら、日本もまだまだ伸びるはずだと確信して帰国した。

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