アフリカ経済の光と影

 改めて確認しておこう。国連ミレニアム開発目標(MDGs)の指標のひとつ、1日1.25ドル未満の所得の人々の比率は、アフリカでは未だ半数近くの48.5%と世界で最も高い(2010年)。MDGsの基準年からみれば比率としては改善しているが、21世紀になって以降も、アフリカの貧困人口は絶対的には増え続けている。

 教育も量的には拡大しているが、その質には退学率の高さなど多くの問題が指摘されており初等教育の修了率は70%にとどまっている。また、成人識字率も未だ約63%と世界最低の水準にある。

 急速な人口増加に見合う雇用は創出されておらず、失業の広がりと貧富の格差の拡大は、暴力と犯罪の温床になっている。保健医療の状況の深刻さの一端は、この連載ですでに詳しく述べられている。アフリカは高度成長というチャンスを貧困削減のために生かしきれていないのである。

 こうしたアフリカ経済の問題はいったいどこにあるのだろうか。世界銀行の統計に従って、特にサハラ以南のアフリカの高度成長再開の契機とされることの多い2003年(イラク戦争)以降の、マクロ的な数字を拾ってみたのが以下のグラフである。

 農業には、多数の人々がその暮らしを頼っている。また、今後、人々の経済的貧困を削減する可能性を秘めるのが、製造業である。製造業は、農業と違って産品はほぼ無限に多様であり、競争力さえあれば、外国の大きな市場を獲得することができる。製造業には広い産業連関が期待でき、付加価値の拡大・技術の向上、雇用の増加の効果も大きい。農業と並んで製造業が貧困削減に果たし得る大きな役割は、過去の先進国やアジアの経験で実証されている。

 グラフからまず分かるのは、国民総所得の成長率に比べて、農業と製造業の成長率が低いことである。農業の成長率が低いのは普通のことで、むしろグラフに表れている4%近い数値は比較的高い。資源ブームと軌を一にした一次産品のブームと、すぐ後で述べる消費ブームが、商業化された一部の農家に有利に働いている。深刻なのは、農業よりも製造業の数値が低いことで、これは順調に成長する発展途上国ではあまり見られない現象である。