アフリカの高度成長は、鉱業等や、(グラフには示していないが)サービス業によって牽引されている。言うまでもなく、鉱業の拡大は世界の資源ブームに呼応している。鉱業は一般的に言って飛び地的で、技術の波及や雇用の創出にあまり寄与せず、貧困削減に及ぼす直接の効果は小さい。むしろ鉱業への依存は、アフリカの多くの国の経済政策や政治を歪め、農業や製造業の発展を阻んできた。「資源の呪い」である。

 グラフに示すように、需要(総固定資本形成〈投資〉及び消費)は、総国民所得を上回る急激な伸びを見せている。消費の伸びは、拡大する教育制度を通じて生み出された富裕層と都市中間層が経済成長の成果を費消しているところが大きい。

 日本の消費財企業が重い腰を上げ、アフリカに注目し始めたのも、この点に注意をひかれたからだろう。だが、この需要の伸びにアフリカの製造業は全体として反応できていない。また投資はかなりの部分が外国投資によるもので、その多くは鉱業等に向かっている。国内製造業の代わりに、拡大する需要を埋め合わせているのは、やはり急速な伸びを見せる輸入である。

 特に消費財の輸入拡大の主役は中国製品である。輸入品に地歩を奪われるかたちで、アフリカの製造業は、年々経済全体における構成比を落としてきた。アフリカにおける「脱工業化」は以前から指摘されてきたが、高度成長期になっていっそう際立つようになってきた。輸入品に対抗しつつ、貧困な人々の需要に応えられている国内産業は、多くの場合、公式統計では捕捉されにくいインフォーマルな小規模事業者に限られている。

 外部のブームによって生じた鉱業や一部の商業農業の成長が、投資と消費の拡大を生んでいるが、それは、国内の広範囲の農民や製造業者の生産と雇用の拡大を生むことなく、富は再び輸入代金として流出し、貧困は放置される、そうした構図が浮かび上がってくる。

過去の経済停滞の原因

 実はアフリカ諸国で、資源ブームにより成長と貧困削減のチャンスが生まれたものの、それを生かせなかったのは今回が初めてではない。

 1970年代までの期間にも鉱物資源価格が高騰し、多くのアフリカの資源国が外貨収入を増やした。とりわけナイジェリアなどの産油国は、石油ショックにより莫大な原油収入を手にした。資源収入は政府部門の拡大を生み、また食料や燃料に対する補助金となって、消費拡大につながった。消費拡大は、貿易保護政策もあって一定の国内生産の成長をもたらした。