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話題の「3Dプリンター」の原理が
いまいちわからない人にざっくり解説!

河合起季
2013年7月3日
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 インクジェット方式は、インクジェットヘッドで細かい粒子にした樹脂を噴射し、紫外線照射で固めながら、樹脂を何層にも重ねて立体物をつくる方法。熱溶解積層方式よりも表面を滑らかに仕上げられる。

 一方、光造形方式は、紫外線があたると硬化する特殊な樹脂にUVレーザーを照射し、樹脂の表面に部品の断面を描いて硬化させる。この作業を何度も繰り返し、硬化させた層を積み重ねて立体物をつくる。メリットは、複雑で細かな形状でも容易に成形できること。ただ、装置が高価で、使用できる素材が限られるのが難点だ。

熱溶解積層方式によるスパナの模型(ストラタシス)。本物同様に、ネジ部分を回すと掴みのピッチが変わる。一度の「印刷」で、複数の部品を組み合わせたこのような立体物が作れるというから不思議だ Photo by DOL

 一般に高価な方式、装置ほど高精度なものが作れるのだが、普及モデルでは0.6mm程度までの薄さや穴までつくることができる。さらに、驚くべきは、モンキースパナの模型ではサイズ調節用ネジ部分など、動かすパーツ(可動部分)も含めて一発で造形できてしまうことだ。

 普通の立体物がつくれるのはまだ理解できるが、どうしてそんなことが可能なのか。その秘密は、製造工程で、動かす部分や取り外しする部分に、水につけると溶けるサポート材を吹き付けておくことにある。成形が終わったら、水をつければそのサポート材が溶けて、動かせるようになるというわけだ。

普及版も登場し、ユーザーのすそ野拡大へ

 用途としては、製造業はもちろん、医療分野でも期待が高まっている。将来的には、3Dプリンターでつくる人工骨など、患者ごとのオーダーメード医療という分野で威力を発揮するかもしれない。

 また、普及版の登場によって、フィギュアやプラモデル、スマホケースづくりなど個人の趣味として広がる可能性も秘めている。フィンランドのノキアは、最新スマートフォンの発売に合わせ、市販の3Dプリンターを使ってスマホケースをつくるためのデータをウエブサイトで配布している。デザインのカスタマイズも自在で、約1時間30分ほどで造形できるという。

 では実際、3Dプリンターのメーカーはどんな製品の販売に力を注ごうとしているのか。

 前述した「設計・製造ソリューション展」で、ストラタシスはインクジェット方式の「Objet」シリーズ、熱溶解積層方式の「FDM」シリーズなどを出展した。独自のインクジェット方式は2種類の樹脂を混ぜ合わせることができる。たとえば、白と黒を混ぜてグレーにしたり、2種類の樹脂を混ぜて素材の強度を変えたりすることが可能だ。

 さらにストラタシスは6月19日、同業の米メイカーボット・インダストリーズを買収すると発表した。メイカーボットは価格が2000ドル台(約19万円台)のデスクトップ型3Dプリンターを販売、趣味のユーザーやデザイナーなどの間で人気が高いという。同社を傘下に収めることで品ぞろえの拡充を図る方針だ。

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