日米で株価がじわりじわりと下がっている。断続的に大きく下げた昨年とは異なる、歯止めの掛かりにくそうなイヤな下がり方だ。2月22日の日本経済新聞によれば、ニューヨーク証券取引所とナスダック市場の時価総額は、2007年10月のピークに比べて、約10兆ドル(約930兆円)も吹き飛んだ。これは、日本のGDPの2倍弱に相当する。10ドル割れ銘柄も続出しており、20日時点でS&P500のうち100銘柄が10ドル未満で推移していた。

 日経平均が24日に一時バブル後最安値を下回った日本の株式市場も気になるが、心配なのはやはりアメリカの個別株、特に銀行株だ。詳しくは後述するが、アメリカのメディアで国有化の筆頭候補に名前があがるシティグループの株価は、年末の6ドル69セントから20日には1ドル95セントにまで下落した。バンク・オブ・アメリカも、14ドル08セントから3ドル79セントに下落。相対的には株価が持ちこたえているJPモルガンチェースにしても、年末の31ドル53セントから19ドル90セントにまで大きく下げている。いずれもひどい状況だ。

 シティグループの状況が特に心配だ。同行は昨年、政府から450億ドル(約4兆5000億円)の資本注入のほか、3060億ドル(約30兆円)分の不良債権の損失保証の確約を得たが――個別企業の救済策としては過去最高額ではないか――、それでも市場から信用されるには至っていない。端的に言って、シティの資産の劣化が疑われているからだ。一体どの程度まで悪くなっているのだろうか。

 推察するに、当初の損失はサブプライム関連の資産悪化に伴い含み損が表面化したことが中心だったろうが、不況の深刻化で、消費者ローンなどの焦げ付きがさらに増えたし、法人向けの通常のローン債権についても、悪化が進行している筈だ。

 振り返ると、1990年代の日本でも、バブル崩壊で当初発生した不良債権ばかりでなく、その後の景気悪化に伴い生じた不良債権が金額的に大きかった。米国でも金融危機以降の損失が増えてきたわけだ。

 率直に言って、目下の状況はガイトナー財務長官が賭けに敗れたということではないか。