初回の投稿で、私が経営参画したIT企業9社から幸運を得たと記した。そうした幸運の全てを皆さんに披露する事も共有する事は容易でないし、また意味も無いと思う。私が関わったそれぞれの企業はITを高度に用いたサービスや、ソリューション(解決手段)を開発し、提供する事を目的としていた。

 私は、そのオファリング=提供物(サービス、ソリューション…)は

(1)何なのか
(2)どのように役にたつのか?
(3)究極の価値は何なのか?
(4)結果、人間社会を良くし、人を幸せにするものか?

 といったことを日本で当時誰よりも??先んじて知り、考える好機を与えられたと思っている。

 今回は、その中で一番最初に入ったIT企業、アシュトンテイトでの発見(当時の気付き)から、最近のビッグデータブームについて考えてみたい。

PCソフトで世界ビッグ3の会社

 私は1988~92年まで日本アシュトンテイトに経営者として在籍した。いまや、いや、当時でもこの会社名を知らないビジネスパーソンは多いだろう。

 マイクロソフト、ロータス、アシュトンテイト。この3社はいわば、1980年代のPCソフトウェアベンダーの世界ビッグ3だった。

 いまやマイクロソフトの名前を知らないビジネスパーソンはおそらくいないと思うが、当時はPC自体がまだビジネスマンのツールという位置づけではなく、さしものマイクロソフトの知名度についても、当時の社長だったF氏が体験した面白い話を漏れ聞いている。

 当時、彼は松下電器との商談で関西に出張し、本社の受け付けで、MSのFであると伝えた。MSはPCソフト企業として世界一、世界レベルの会社の受付嬢であればMSの名前を知っていて当然と、今なら誰もが思うだろう。しかし残念なことに、受付嬢はこの世界的な企業であるMSの名前を聞いたことも無く、企業名を聞き返してきたということだ。

 これは当時まことしやかに話されていた逸話であり、事実確認を直接F氏にしたわけではないが、当時のPCソフト企業の一般のビジネス社会での認知度を表すに充分な話と思う。

 だからPCソフトのビッグ3の一つと言っても、アシュトンテイトは一般的には何の会社か全く知られておらず、コンピュータ業界においては、会社名よりもdBASE(ディーベース)というRDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)のプロダクト名の方が知名度があったと記憶している。

 この会社へ私は、全く畑違いのコンサルティング企業から転職した。ブラインドでタイプを打てる(キーボードのブラインドタッチと言った方が今様か?)、ビジネスで英語を使えるくらいの適性?で、しかも、アシュトンテイトはコンピュータ業界で10年の経験者を求めていたというのだから、なぜ私が日本法人の社長候補として選ばれたのかは謎だが。