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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

事業の定義の陳腐化は進行性の病である
しかも命にかかわる病である

上田惇生
【第338回】 2013年7月8日
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ダイヤモンド社刊
【絶版】

 「あらゆる組織が自らについて定義をもつ。明快で一貫性があり、焦点の定まった定義が、組織にとって要の拠り所となる」(『未来への決断』)

 あらゆる組織が、成功するためには、自らの事業について定義を持たなければならない。

 事業の定義は3つの部分から成る。環境、使命、強みである。自らを取り巻く市場、顧客、技術などの経営環境であり、自らが使命とするものであり、自らが強みとすべきものである。

 いかなる環境のもとに、いかなる使命を、いかなる強みのもとに追求するか。ドラッカーによれば、この事業の定義が有効であるためには、条件が四つある。

 第1に、環境、使命、強みのそれぞれが、現実に即していることである。絵空事では困る。

 第2に、互いに平仄(ひょうそく)が合っていることである。

 第3に、組織内に周知されていることである。

 第4に、常時検証され改定されていることである。

 事業の定義のなかには、時として、長く生き続けるきわめて強力なもの、未来永劫不変であるかのようなものがある。だが、人のつくるものに永遠のものはない。いかなる事業の定義といえども、やがては陳腐化する。

 陳腐化の予防策はある。一つは、あらゆる製品、方法、チャネルについて、今行っていなければあらためて手をつけるかを、常時自問していくことである。もう一つは、顧客ならざる者、すなわちノンカスタマーを常時モニタリングしていくことである。変化は知らないところで始まるからである。

 しかし幸い、陳腐化にも、時節があり類型がある。

 まず、使命を達したときである。電話事業者にとっての事業の定義は、固定電話が全国に普及したときに陳腐化した。

 次に、短期間に2倍、3倍へと急速に成長したときである。そんな場合には、事業の定義を超えて大きくなっているに違いない。

 そして、予期せぬ成功が起こるときである。

 最後に、予期せぬ失敗に見舞われるようになったときである。

 「事業の定義の陳腐化は、進行性の病である。進行性の病は、治療の先延ばしによっては治らない。治療でしか治らない」(『未来への決断』)

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2017年1月21日号 定価710円(税込)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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