――「2013年の経済危機」を回避するために、何をすべきでしょうか?

 アベノミクスによる過剰流動性の供与を直ちに止めることです。「インフレ率を上げて、長期金利を抑制する」というのは自己矛盾です。インフレ率が上がるなら、当然長期金利は上がります。急速に起これば、債券を保有している金融機関は債券価格の低下で破綻し、国家も破綻です。

 例えば国債の平均金利が目標インフレ率2%プラス1.5%の3.5%になったとしましょう。1000兆円の借り入れに対する金利は35兆円。日本の税収は今40兆円そこそこです。税収のほとんどを金利の支払いだけに充当することはもちろんできません。

 財政の健全化は進め、信用構築を重視することを怠ってはいけません。法人税を下げたいのであれば、その分消費税を上げるか支出を抑えなければいけません。欧州諸国の法人税率は日本よりは低いですが、消費税はみな20%以上です。消費増税は見送り、法人税は引き下げ、支出は増やした、というような話は成立しないのです。

 経済成長を目指すには、イノベーションを推し進めることです。個別具体案を積み上げることが重要で、「看板あって中身なし」の新機関創設、「多言にて意味不明」な政策、「空想に過ぎない数値目標」を掲げても失望を誘うだけです。

 中産階級の可処分所得の増加なくして、経済活動は活発化しません。非正規雇用者を増やし、円安で農家や漁民の薄利を、原燃料コストの上昇で奪ったりし、低所得層を増やせば増やすほど、国家の衰退は早まります。

「いったい誰のための何のための経済政策なのか」を問い続けることを怠ってはいけません。