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稀代の教育改革者は、学びを楽しむ達人だった――サルマン・カーン カーンアカデミー創設者に聞く

瀧口範子 [ジャーナリスト]
2013年7月10日
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――2025年頃の未来、予想によると決して明るくありません。人々には仕事がなく、お金を得る手段がない。どうすれば教育でそれを解決できるでしょうか。

カーン 簡単な回答はありません。未来において、労働はロボットに置き換えられ、中間層の官僚やホワイトカラーの仕事は、コンピュータが自動化します。では、社会のトップでは何が起こるのか。

 理想的な社会は、『スター・トレック』で観るような世界です。つまり、みんなが探検家や研究者やアーティストである社会です。あの映画のすごいところは、エイリアンではなくて、未来の文明社会においてはみなが研究者であるというところです。

 もちろん、誰もが研究者になれるわけがない、誰もがクリエイティブになれるわけがないという意見もあるでしょうが、それは間違っています。そのキーは教育にあります。

 もし大学を卒業しても、受け身になるように鍛錬され、先生や上司が指示を出すのを待っているようでは、未来への移行はうまくいかない。そうではなくて、自分から何かを手がけ、何かを作り出すようになれば、やることは無限にあるはずです。


【お知らせ】
反響続々!! サルマン・カーン著
世界はひとつの教室
――「学び×テクノロジー」が起こすイノベーション

世界中から月間600万人以上が利用する画期的なオンライン教育サイト
「カーンアカデミー」の創設者が書き下ろす、教育の未来形。

定価:1,680円(税込)
造本:四六判・上製・256頁
ISBN:978-4-478-02046-3

カーンアカデミーの始まりは2004年、当時ヘッジファンドのアナリストとして辣腕をふるっていたサルマン・カーンが、ひょんなことから12歳のいとこの家庭教師を引き受けたことがきっかけだ。
離れた土地に住むいとこに勉強を教えるため、試行錯誤の末にカーンが思いついた方法が「レッスン動画をYouTubeにアップすること」。偶然始めた試みだったが、カーンはこの経験からオンライン教育が秘める途方もない可能性に気づく。

本書は、カーンアカデミーの驚くべき成長の物語であり、従来の教育システムが抱えていた制約をテクノロジーが解き放つ可能性に迫った意欲作だ。学校教育にたずさわる方のみならず、テクノロジーが押し広げる新しい社会の姿を俯瞰したい方必読の一冊!

絶賛発売中![Amazon.co.jp] [紀伊國屋書店] [楽天ブックス]

◆主要目次

第Ⅰ部 「教える」ということ

ナディアの家庭教師/ごくシンプルなビデオ/重視すべきはコンテンツ/完全習得学習/「学び」とは何か/ギャップを埋める

第Ⅱ部 壊れたモデル
慣習を疑う/プロイセン・モデル/スイスチーズ的学習/テストの功罪/創造性に貼られるレッテル/宿題/教室をひっくり返す/学校教育のコスト

第Ⅲ部 現実の世界へ
理論と実践/カーンアカデミーのソフトウェア/現実の教室へ/ゲームのように楽しく/一世一代の決心/ロスアルトスでの実験/教育は年齢を超えて

第Ⅳ部 世界はひとつの教室
不確かなのは当たり前/生徒だったころの私/「教室はひとつ」との思い/チームスポーツとしての教育/「秩序ある混沌」はOK/夏休みを見直す/これからの成績表/教育を受けられない人たちのために/これからの資格認定/大学はどうなるか

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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