才能と、奔放と――。
女児出産を公表した安藤選手

 フィギュアスケートの試合をテレビで観たことのある人なら、ほぼ全ての人が、安藤美姫選手が豊かな才能と魅力を備えたスケーターであることを認めるだろう。

 特に、2011年世界選手権での優勝(通算2度目)は圧巻だった。一時は、年下の浅田真央選手に差を付けられたかに見えた時期があったが、そこから巻き返したのだから素晴らしい。

 この巻き返しの原動力の1つは、衆目の見るところ、ロシア人でフィギュアスケートの世界で屈指の有力コーチであるニコライ・モロゾフ氏の指導だった。

 一方モロゾフ氏は、かねてより自身が指導する女子スケーターとしばしばプライベートに深い関係を結ぶことで有名であり、安藤選手とも少なくともある時期、特別に親しい関係だった。この点については、モロゾフ氏自身もメディアにそうコメントしている。

 安藤選手も、そのことを隠そうとはしなかった。その後の、あるいは現在の安藤選手とモロゾフ氏の関係がどのようなものであるのかは、第三者的に興味深いところではあるが、よくわからない。

 加えて、驚いたことに、安藤選手は先日、今年の4月に女児を出産していたことと共に、選手として来年のソチ五輪を目指すことを公表した。

 安藤選手ほどの有名人が、妊娠・出産の事実を世間に対して隠せていたことにも驚いたし、出産後にさしたる休養を経ずに練習を再開したという安藤選手の体力・気力にも驚嘆せざるを得ない。

 そして、安藤選手は、娘さんの父親が誰なのかを現段階では公表しないとしている。目下、世間の耳目は安藤選手に集中しており、多くのメディアが、娘さんの父親が誰なのかを突き止めて報道したがっているように見える。

 常識的には、娘さんの名前は報道しない方がいいように思うが、これを報道したメディアもある(報道時点で、安藤選手の了解を得ていたのだろうか?)。本件に関する報道は、目下過熱気味だ。