国会でも改正の不備が指摘
環境省の不誠実な答弁

 6月17日、全会一致で参議院を通過、成立した改正大気汚染防止法について、大手メディアはアスベスト「規制強化」としか報じてこなかった。だが、実態は環境省の怠慢で7年も改正をさぼってきただけにすぎず、内容的にも他法令に合わせただけの「規制強化」と呼ぶのもおこがましい代物である。

 今回の法改正が不十分であることは、これも報じられていないことだが国会でも追及されている。

 たとえば5月24日の衆議院環境委員会では、アスベスト調査者の認定・登録制度については、自民党の穴見陽一議員が「アスベストの存在をちゃんと識別ができる専門職または資格があるか」と質問。環境省水・大気環境局の小林正明局長から、国による認定制度は「まだない」との回答を引き出し、「ぜひ、公的な資格ということも視野に入れて進めていただければ」と要望した。

 さらに穴見議員は「専門性というのが都道府県、政令市にいまは備わっているのか」とも質した。自治体が十分に対応できていない実態をふまえた質問である。

 これに対して小林局長は「各都道府県、市、大小によっても違いますが、環境あるいはそれに類するような科学的な知見を専門とする職員もおりますし、経験を積んできておりますので、それなりの専門性あるいは経験というものは持っている」とあいまいに答えた。

 小林局長のいう「それなりの専門性あるいは経験」では対応できていないこと、今回の改正ではそれを解消するようになっていないことが問題なのだが、そこまでの追及はなかった。

 アスベスト除去工事における事前調査や届け出制度については、民主党の篠原孝議員が「日本の法律は性善説になっている。アメリカなんて徹底して性悪説。発注者が責任持つといっても、発注者と受注者がささやかな談合をしてしらばっくれたら、簡単にできる。ある程度大きいところ(大規模な解体工事)は、第三者機関にチェックさせることが必要じゃないか」と質した。

 これには小林局長が若干しどろもどろになって、「ご指摘のとおり、第三者機関による調査については、中間答申において、登録制度の具体化について提言いただいた」と話をすり替えた。