株式レポート
7月9日 18時0分
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株高が持続するハードル〜5月初旬と現在を比較する〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

日本株は、急落した5月23日直後の水準まで戻ってきた(グラフ参照)。5月末から6月半ばまで相場の景色が一変し悲観的な見方が広がる中で、日本株を割安と冷静に判断できた投資家は、足元の急反発で含み益が増えているだろう。


現在の日本株(TOPIX)の水準は、5月月初とほぼ同じである。ここから先、日本株を買い上がる投資判断は、5月半ばの様な下落リスクとの見合いで行う必要がある。筆者は、現在同様の株価水準だった、5月初旬の「月刊マーケットの歩き方」で、日本株の投資判断を1か月前から引き下げた。

この時は、(1)それまで改善していた重要な米経済指標がやや減速、(2)米FRBに市場の注目が移り出口戦略への思惑が揺れ動く可能性、(3)株価水準が切り上がっていた、という3つの事象から以下のように判断した。「アベノミクス成功で日本経済全体が復調し、脱デフレという過程に入っている中で、出遅れている日本株は中長期的に投資魅力は大きい。ただ短期的に調整リスクが大きくなった」と。

その後株価は急落したが、1か月の調整期間を経て反発、再び5月初旬と同じ水準に戻り、前月と同様の「かなり強気」の投資判断を維持するか悩んでいる。5月にやや慎重な方向に判断を引き下げたのは、先に述べたとおりISMなど弱い米経済指標、FRBの出口戦略への思惑、という2点があった。

これらについては、3か月連続で低下していたISM製造業景況指数が6月に下げ止まり、米製造業の業績は最悪期を過ぎた模様である(グラフ参照)。更に、消費、住宅、雇用などの景気指標は引き続き改善している。またFRBの量的緩和縮小への懸念についても、スケジュールを敢えて明示したバーナンキ議長は市場からの信認を一旦は勝ち取ったようにみえる。


これらの2つのネガティブな要因だけでみれば、急反発した日本株にとっても、5月時点と比較して下振れリスクは和らいでいる。また、欧州ではPMI製造業指数が2か月連続で改善するなど、先進国において製造業の生産活動は改善傾向にある。

ただ、中国の製造業PMI指数は、統計作成に問題があったことが判明したことに加えて、6月に若干だが再び低下した。新興国においては景気減速懸念から、中国、ブラジル、インドなどの株価、そして銅・アルミなどで国際商品市況の価格下落が続いている。

世界経済全体では、米国と日本の国内需要回復が下支えとなっているが、それが新興国の景気復調につながらない状況が続いている。中国のシャドーバンキングの問題自体は、従前から言われていたことで、これは金融危機再来というよりようやく問題解決に当局が踏み出したと考えればよい。ただ政策対応に政治事情が影響するなら、中国景気の足踏みが続くリスクは高まった可能性もある。

こうした世界経済全般の状況は、5月と現在を比較して劇的に改善したとまでは言えない。であれば、5月初旬と同様に短期的には日本株の上値を追う、リスクはそれなりに高い。

日本株を含め世界の株式市場が、5月半ばまでのように高値追いが続くには、米国と日本経済の復調が、新興国や欧州にも波及し世界経済回復が顕著になるシグナルが増えることが必要だろう。これまでのところ、原油以外の国際商品市況は軟調である。

一方、中国の鉄鉱石輸入価格やバルティック海運指数(ばら積み船の運賃)が6月初旬から下げ止まり、やや明るい兆しもある(グラフ参照)。これらの価格上昇が一段と鮮明になり、新興国の下振れリスクが和らぐストーリーが期待される。ただ、その兆候がもう少し増えるまでは、日本株を中心に株式市場の上値追いリスクは大きいと考えている。


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(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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