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アマデウスたち

宮下純一
陶酔のなかで爆発させた潜在能力

週刊ダイヤモンド編集部
【第74回】 2009年4月17日
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宮下純一
写真 加藤昌人

 五輪の女神がその端正な容姿に魅入られたのか、誰も予想しなかった大活躍で、北京五輪のヒーローに加わった。

 水泳エリートではない。高校生までは地元・鹿児島の有力選手というレベルだった。大学進学後、一気に記録を伸ばしたが、競泳選手としての絶頂期に挑んだアテネ五輪代表選考レースでは、あと一歩及ばず、涙をのんだ。2008年4月の日本選手権でも、アテネの銅メダリスト、森田智己に次ぐ2位。五輪代表の座には、ギリギリで滑り込んだ。

 そして、迎えた本番。男子100メートル背泳ぎ準決勝では当然、エースの森田に周囲の期待が集まる。しかし、自己ベストを1秒近くも縮める驚異的な日本新記録で決勝進出を決めたのは、宮下純一だった。

 五輪中毒という言葉がある。その強烈な毒気に当てられて、志半ばで夢果てる者もあれば、陶酔のなかで潜在能力を爆発させる者もいる。宮下は「いつまでも泳ぎ続けていたかった」と言うほど、北京の水に酔いしれていた。

 日本記録更新の実績で、急きょメンバーに指名された400メートルメドレーリレー。第一泳者という重圧をはねのけ、決勝では4位の高順位で北島康介につなぎ、銅メダルを獲得した。

 極度の疲労で嘔吐を繰り返しながらも続けた孤独な練習。五輪の女神が祝福したのは、その一途なひたむきさだったのかもしれない。

(ジャーナリスト 田原 寛)

宮下純一(Junichi Miyashita)●競泳選手 1983年生まれ。高校時代は全国4位が最高成績。筑波大学卒業後、2006年ホリプロ入社。同社初の契約社員という立場で競技を続ける。北京五輪・男子100メートル背泳ぎで53秒69の日本新記録で決勝進出、8位入賞。400メートルメドレーリレーでは北島康介らとともに銅メダル獲得。

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