シェール革命は日本に何をもたらすのか
【第2回】 2013年7月16日
著者・コラム紹介
橘川武郎
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石炭火力発電活用もエネルギー確保に有効
カギは二国間オフセット・クレジットの確立(後編)
――橘川武郎・一橋大学大学院商学研究科教授

地球温暖化対策の「切り札」
日本の石炭火力発電技術

きっかわ・たけお
1951年生まれ。和歌山県出身。1975年東京大学経済学部卒業。1983年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。同年青山学院大学経営学部専任講師。1987年同大学助教授、その間ハーバード大学ビジネススクール 客員研究員等を務める。1993年東京大学社会科学研究所助教授。1996年同大学教授。経済学博士。2007年より現職。『東京電力 失敗の本質』(東洋経済新報社)、『電力改革』(講談社)など著書多数。総合資源エネルギー調査会基本政策分科会委員
Photo by Naoyoshi Goto

前回、シェールガス革命が切り拓いた新時代におけるLNG調達コストの削減策について論じたが、電力料金値上げを回避する火力発電用燃料コストの抑制という意味では、石炭火力発電の活用も、きわめて重要な意義をもつ。なぜなら、図表2にあるとおり、原油価格や天然ガス価格に比べて、石炭価格の低廉ぶりは際立っているからである。

 もちろん石炭火力発電には、二酸化炭素を大量に排出し、地球温暖化を深刻化させるという、大きな問題点がある。火力発電用燃料コストの抑制策として石炭火力発電所を新増設すれば、それがたとえ最新鋭の高効率な発電設備であったとしても、日本国内で二酸化炭素排出量が増大することは避けられないだろう。

 しかし、ここで見落としてはならないのは、我々が現在直面しているのは「日本環境問題」ではなく、「地球環境問題」だという点である。この点を視野に入れれば、日本の効率的な石炭火力発電技術は、世界的規模で二酸化炭素排出量を減らす、地球温暖化対策の「切り札」となりうるという、「意外な事実」が見えてくる。

 福島第一原発事故後のわが国では、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減するという、鳩山由紀夫元首相が打ち出した国際的公約(いわゆる「鳩山イニシアチブ」)の実現は絶望視されるにいたった。たしかに、原発を使って国内で二酸化炭素排出量を減らすやり方は不可能になったと言える。ただし、ここで注目すべきは、鳩山イニシアチブの目標と同等、ないしはそれ以上の成果をあげる別の方法が存在することである。

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シェール革命は日本に何をもたらすのか

アメリカで起こったシェール革命は、世界の天然ガス産出国に大きな衝撃を与え、また輸入国にとっても、少しでも安価に天然ガスを輸入しようと、資源外交の練り直しが迫られている。東日本大震災以来、エネルギーの安定確保は日本にとって喫緊の課題だ。そうした状況下で、シェール革命は、日本に何をもたらすのだろうか。

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