中国経済は明らかに減速しているが、個人消費は日本で思われているほど悪化していない。

 官僚や国営企業幹部に対する習近平の質素倹約令によって、超贅沢品や高級レストランの売り上げは落ちている。しかしスーパーなど小売店の売り上げ不調の主因は、インターネット販売の急速な拡大にある。今や米国よりその比率は高いが、中国の消費関連の統計にネット販売はほとんど含まれていない。ATカーニー社によると、いくつかのカテゴリーで、ネット販売の比率は10%を超えている。

 日系の乗用車は中国で苦戦している。6月の販売台数前年比はトヨタは+9%だったが、日産▲8%、ホンダ▲6%、マツダ▲32%だ。日本車のシェアは昨年10月に8%へと急落し、最近は16%にまで回復(5月)。しかし、尖閣問題が激しくなる前の昨年7月の20%にはまだ戻れていない。

 一方、欧米勢は好調だ。6月の販売台数前年比は、アウディ+34%、BMW+44%、メルセデス+16%、フォルクスワーゲン(VW)+10%、ポルシェ+18%、GM+11%、フォード+44%。内陸部でモータリゼーションが本格化しているが、日系メーカーの多くはそれをあまり享受できていない。

 VWが今年前半に中国で売った台数は、トヨタの2.8倍の1200万台。世界販売台数の4割を中国で売ったことになる。そんなに中国依存度が高くて大丈夫か? と日本人の多くは思うだろう。

 6月に上海のインターバンク市場で金利高騰が発生したとき、日本では、中国リスクからできるだけ早く距離を取れ、といった論調の記事がよく目についた。一方、多くの欧米のビジネスマンは、中国経済の危うさを意識しつつも、「いつまで稼ぎ続けることができるか?」という視点で見ているように感じられる。