産後のキャリアのために「決意表明」をしておく

第3回:「迷ったら、産む」。<br />それをすべての女性に伝えたい内永ゆか子          NPO法人 J-Win理事長。1946年生まれ。1971年に東京大学理学部物理学科卒業、同年日本IBMに入社。長年ソフトウェア開発にたずさわり、1995年に同社で初の女性取締役に就任後、常務取締役、取締役専務執行役員を歴任。2007年日本IBM退職後はベネッセホールディングス取締役副社長、ベルリッツ コーポレーション代表取締役会長兼社長兼CEOを経て、2013年6月にベルリッツ コーポレーション名誉会長を退任。また、2007年よりNPO法人J-Winの理事長として、企業における女性活躍推進を支援。100社を超える会員企業の業種や職種を超えた女性ネットワークを通じ、女性リーダーの育成を行っている。2013年、男女共同3画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰受賞。著書に『部下を好きになってください』(勁草書房)、『日本企業が欲しがる「グローバル人材」の必須スキル』(朝日新聞出版)がある。

「仕事と育児を両立したい」「出産後も仕事を続けたい」と思うのなら、あなたが今、手にしているキャリアやポジションを手放さずにすむ方法を考えましょう。

 そのためにはまず、職場の人に対して「決意表明」をしておく必要があります。「ちゃんと仕事をやっていく気があるのね」。周囲にそう思ってもらうには、出産後できるだけすみやかに元の仕事に戻ったほうがいいでしょう。私は6ヵ月くらいが目安だと思います。

 日本では一年間の育児休業が法律で認められていて、大企業では2~3年の育児休業制度を設けているところもあります。でも、それをそのまま取得してしまうと、上司や人事部から「もう仕事はそこそこでいいのね」「プライベートを優先するのね」と認識されます。

 その結果、やりがいがあるとは言えない部署に回されてしまっても、文句は言えないでしょう。ですから「決意表明」をしておく必要があるのです。

 ただ、育児と仕事を両立するには、日本では働くママを支えるインフラが十分に整っていません。「多くの女性に仕事と育児を100%楽しんでもらいたい」。私もその一心でJ-Winを通じて育児インフラの必要性を唱えていますが、残念ながら、社会の育児インフラが整うにはまだまだ時間がかかるでしょう。

 そこであなたへのアドバイスは、「出産前に社内インフラを整えておく」こと。

「社内インフラ」とは、要するにあなたの味方になってくれる人です。子育ては「予想外の出来事」の連続。急に休まなくてはならなくなったり、早く帰らなくてはならなくなったりして、周囲の負担が増えるはず。そんな時にサポートしてくれる人を社内に作っておくのです。

 産休や時短勤務といった制度も、周囲の支えがあってこそ。上司や同僚があなたに快く協力してくれるような関係作りが、やはり一番大切です。


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第3回:「迷ったら、産む」。<br />それをすべての女性に伝えたい

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