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7月16日 18時0分
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リスクとの付き合い方 PART2 - 広木隆「ストラテジーレポート」

ハイスクール ハイリターン

投資の世界では「ハイリスク・ハイリターン」と言われる。高いリターンを狙うなら、高いリスクを負担しなければならない、という意味だ。このCMも、そういう「ハイリスク・ハイリターン」の関係を表したものかと思いきや、ところがそうではない。よく読むと「ハイスクール・ハイリターン」。大塚食品ビタミン炭酸飲料『マッチ』のCMキャッチコピーだ。

中学生の時に高校生になったら「屋上でパンを食べたい」「自転車に女の子を乗せて帰りたい(いわゆる2ケツ)」といった夢を持った男子が主人公。高校に入学しパンを片手に屋上を目指すが、そこには「立ち入り禁止」の看板が! 今度はもう一つの夢である自転車に女の子を乗せて下校しようとしたところ、すぐに警察官に見つかりまた失敗。乗っていた女の子は「頼まれたから(乗っただけ)」と、その場から去ってしまう。そんな落ち込んだ時にコンビニで『マッチ』を購入しようとすると、コンビニ店員役の女優でノンノモデルの波瑠が追い討ちをかけるように「夢、小っちゃ」と一言。最後は夕暮れの中『マッチ』を飲むところで「ハイスクール ハイリターン」のナレーションが流れる、というCMだ(結構、レアなのでなかなかお目にかかれない)。

そう、波瑠が言うとおり、「小っちゃい」のである。そもそも、中学時代の夢なんてリスクもリターンも小っちゃ過ぎて、「ハイリスク」でも「ハイリターン」でもない。

「ハイリスク=ハイリターン」ではない - ボラティリティ・パズル

では、現実の相場の世界では「ハイリスク・ハイリターン」なのかというと、これもそうではないのである。ファイナンス理論の世界では、ボラティリティ(リターンのばらつき)をリスクと捉える。ハイリスクとはボラティリティが高いことを指す。では、そうした高ボラティリティ=ハイリスク銘柄やポートフォリオのリターンは高いのか、と言えば逆である。多くの実証研究が示すところによれば、高リスク銘柄/ポートフォリオのリターンは低かった。これは、一般に言われている「ハイリスク・ハイリターン」の考え方と矛盾することから、「ボラティリティ・アノマリー」とか「ボラティリティ・パズル」と呼ばれている事象である。

どうしてこのようなことが起こるのだろうか?ひとつの仮説は以下のようなものである。ボラティリティの高い銘柄は、投資家やアナリストからの注目が集まりやすく、将来の業績を過大に期待される傾向がある。その結果、株価が割高に評価される。そして、そもそも期待が過大なため、期待された業績が実現されないことも多く、その場合失望売りを浴びやすい。山田・永渡[2010]はこの仮説を検証している(証券アナリストジャーナル2010.12 『投資家の期待とボラティリティ・パズル』)。

小林[2012]は別の仮説をいくつか挙げている。
・ ボラティリティの高い銘柄群を好む投機家やノイズトレーダーがこういった銘柄を割高な水準にまで買い上げてしまうので、その後のリターンは悪化しやすくなる。
・ 運用者は競争上、高いリターンを得るためβの高い銘柄を組入れざるを得ないので、ボラティリティの高い高β銘柄は需要過多となって割高になる。
・ 日本株の売買シェア7割程度を占める外国人投資家は、ボラティリティの高い大型株を比較的短期間にトレーディングしてサヤを抜こうとする傾向があるため、こういった、銘柄群のボラティリティは一段と上昇し、リターンは低迷しがちになる。
以上は「ハイリスク」が「ローリターン」になる理由の仮説だが、その反対に「ローリスク」が「ハイリターン」を生む理由として以下のような仮説を紹介している。
・ 低ボラティリティの小型株は、時価総額加重型のポートフォリオにおいて相対的に配分は小さくなることに加えて、上記の投機家や外国人投資家からも相手にされにくいため、低βの特性が「無視効果(neglect effect)」を生み、相対的にリターンは高くなる。
(SMAMレター 2012/7/2 『Vol.30 日本株運用を考える 〜その2』)
こうした「ボラティリティ・アノマリー」や「ボラティリティ・パズル」を利用した投資戦略として、機関投資家の間ではミニマム・バリアンス(最小分散)ポートフォリオ戦略などが執行されているが、それはあくまで対ベンチマークを上回るという意味で有効性が期待できるものであり、個人投資家が同戦略を踏襲するメリットは少ないだろう。しかし、ハイリスク=高ボラティリティ銘柄のリターンは相対的に劣るものになりがちで、高いリスクを負うことの代償は多くを期待できない、ということが学会や機関投資家の世界では「ボラティリティ・アノマリー」として常識になっていることを知るだけでも価値がある。それを理解したうえで、昨今激しい値動きになっている新興市場のバイオ株やゲーム株の投資判断を行うべきである。

ボラティリティとマーケット・タイミング

市場全体を見た時に、ボラティリティの上昇=リスクの上昇であり、それが低リターンにつながるというのは、なんとなく納得のいくところだろう。市場が急落するときに、ボラティリティ・インデックスは上昇する。これは市場が上昇基調を辿るときは比較的ゆっくりで、下落のときには激しく急変することが多いためである。端的に言えば、ボラタイルな相場というのは、相場急落局面と同義であり、当然のようにリターンは悪い。だから、「ハイリスク・ハイリターン」ではあり得ない、と直感的には思う。

繰り返し述べているように、一度相場が大きな変調をきたすと落ち着くまでに時間がかかる。最初の急落で買っても、たいてい、もう一回「引かされる」。二番底が来るのだ。相場格言通りに、「落ちてくるナイフはつかむな。床に刺さってから引き抜け」を実践したほうが堅実である。結局、実際の投資行動としてはボラティリティがある程度、落ち着くのを待ってからマーケットにエントリーするということになる。

ところが現実にはボラティリティのピークが絶好の買い場、相場のボトムであることが多いのである。5月からの急落局面を振り返ってもそうである。最初の大暴落が5月23日、日経平均が1143円下落した日だ。ボラティリティ・インデックスは27から43へ一気に急上昇した。日経平均が底入れしたのは、その3週間後の6月13日。その間、非常に荒い値動きの相場が続いたためボラティリティは高止まりし、ボラティリティ・インデックスがピークをつけたのは、株価のボトムと同じ6月13日である。



ボラティリティのピークが株価のボトム。無論、それが分かったからと言って、相場の底値を当てられるわけもない。どこがボラティリティのピークとなるか分からないからである。但し、これだけは言えるだろう。相場全体のマーケット・タイミングについては、やっぱり「ハイリスク・ハイリターン」なのだと。高いリスクを負うことの代償は、それなりにあるのだと。相場が急落し、ボラティリティ(=リスク)が高まる。そのボラティリティの最高潮のところが相場のボトムなら、そこで拾えれば大きなリターンにつながるだろう。
リスクを取る価値

ちょうど1カ月前のレポート「ヘッジファンドの真実 - 投資の極意」で、ポーカー世界選手権で日本人初の世界王者となったプロポーカー師の木原直哉さんの言葉を紹介した。「悪い手札の時にマイナスをいかに少なくし、良い手札の時にプラスをいかに多くするか。リスク管理と勝機の見極めが大切」 - 投資にもつながる言葉だ。木原さんの著書『運と実力の間(あわい) - 不完全情報ゲームの制し方』を読むと、他にも投資の参考になる考え方が多く紹介されている。

「ポーカーは運と実力が半々のゲーム。半分は実力がものをいうのだから、常に実力を鍛えておくべき」
「運が向いてきているときに、きっちり運を掴み取って結果に結びつけることができるかどうか。そのために必要なのが実力で、これはしっかりトレーニングすることで伸ばすことができる」

この辺りの考え方は、前作『ストラテジストにさよならを』で僕が述べたことにつながると思う。「相場は運や偶然に左右されるところが大きい。理屈(理論)で説明ができるのはせいぜい2割がいいところである。運や偶然は人の力ではどうにもすることができない。だからこそ、人の力で突き詰められる理論が大切なのである」

また、「勝つための大原則は、最も期待値の高いプレーを淡々とこなしていくこと」と述べている点も、非常に共感できる。シナリオに賭けるのではない。シナリオの生起確率とその場合にもたらされるリターンの積=期待値で投資判断を行うのである。

そんな木原さんはこう述べている。「こうした考えで麻雀やポーカーのプレーを捉え直してみると、『これまではこういわれてきたけど、ちょっと違うんじゃないの』ということが多々あります。古いとされているセオリーは、麻雀もポーカーも、リスクをとってリターンを取りに行くことを過小評価しています」

確かに、ダウンサイド(下値)のリスクだけを見たら手が出せないかもしれない。しかし、マーケットは「ハイリスク・ハイリターン」の原則が生きている。それが取るべき価値のあるリスクがどうか、アップサイドの大きさも併せて考えることが必要だ。

こうしたことを書くと決まって、「評論家の後講釈は要らない」と文句を言ってくるひとがいる。蛇足ながら、再掲しておこう。6月20日付けレポートでは「目先の底値は、概ねつけた」「7月に入れば上昇基調に回帰する」と言い切っている。ご確認されたい。これもある意味、リスクをとってリターンを取りに行くことのひとつである。「金を賭けていないじゃないか」とクレームを言うひとも多い。お金に換算できない、大きなものを賭けている。ご想像いただきたい。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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