デジタル・マーケティングは、ビッグデータの活用が大きな差を生むアンドリュー・フランク
ガートナー
リサーチ部門
バイス
プレジデント

 毎年この時期になると、ガートナーのアナリスト達は「ハイプ・サイクル」の準備に取りかかる。さまざまな技術の成熟度と進化の予測をまとめたこの分析手法は高い人気を誇っている。そこで、とっておきの情報をひとつ。今年は、「データ主導型マーケティング」を新しいキーワードとして採用し、そのベネフィットの「変遷」を評価することになっている。

 データ主導型マーケティングに対する高い期待は、5月下旬にニューヨークで開催された「インターネット・ウィーク」のデータ主導型マーケティング・イベントでも見受けられた(MediaPostの記事「Big Data Swagga」を参照)。

 しかし、重要なのは過剰な誇張よりも現実、つまり、データ主導型マーケティングの導入状況はマーケターによって大きく異なるという事実だ。

データ主導型活動とマーケティングの成功は相関する

 今年4月のガートナーの調査によると、マーケティング予算のうち、市場分析に配分されるのは平均21%である。しかし、平均ほど当てにならないものはない。平均に近い回答はわずか4分の1にすぎず、予算の10%以下という回答が全体の21%、40%以上という回答が15%を占め、ばらつきが大きい。同様に、市場分析の予算に占めるデジタル・マーケティング分析の割合は、全体の24%が10%以下と答え、40%以上と答えたのは全体の17%という結果だった。

 トップレベルのマーケターとそれ以外を比較した最近のIBMの調査によると、データ主導型活動の多さと、そのマーケティングの成功は相関するとしている。トップレベルのマーケターと平均的なマーケターの最大の違いは、データ主導かどうかということだ。

 トップ・マーケターが最も重視する活動は「最適化技術をすべてのチャネルに適用する」というもので、こう回答した比率は、平均的なマーケターの5.6倍に上る。以下、重視する活動として、「状況に応じてリアルタイムに調整を行う」(2.6倍)、「高度な分析をもとに広告予算を配分する」(2.2倍)、「トランザクションの異常を検出し対処する」(2.2倍)と続く。