アーネスト社長 永塚政義
アーネスト社長 永塚政義

 ここ4年間で3倍近い成長を遂げた市場がある。自動車の再生(リビルト)部品市場だ。リビルト部品とは、廃車となった自動車から取り出した自動車部品をいったん分解し、消耗品を新品に組み替えるなどの修理を行なった後に再び部品として組み立てたもので、ただの中古品(リユース)とは異なる。2003年度に400億円程度だった市場規模はこの4年で1000億円を突破した。

 アーネストはこの業界大手で、自社ブランド「RAP」を立ち上げている。社長の永塚政義は、「リビルト部品は、性能が同程度で、価格は新品の半分程度。自動車の長寿命化を背景に、発電機(オルネーター)などの需要が伸びている」と話す。

 実際、埼玉県吉川市の工場横の事務所では、電話コールが引きも切らない。全国のディーラーや整備工場からの注文を受けた部品商社が、アーネストに価格や在庫の問い合わせをしてくるためだ。ヘッドセットを着けた30人の電話オペレーターが対応に追われる。

 「車種を聞けばすぐに部品を特定できる在庫管理と検索システムをつくり上げた。だからこそ即座に対応できる」と、永塚は笑みを浮かべる。

 大学を卒業後、自動車部品の商社に勤め、北米の営業畑を歩いてきた。米国を飛び歩きながら、日本ではまだほとんど知られていなかったリビルト部品が大きなビジネスになっていることに注目してきた。

 1993年に創業。資本金300万円、従業員は一人からのスタートだった。銀行に融資を頼んでも、リビルト部品という業界自体が知られていなかったこともあり、まったく相手にされなかった。そこで、当初は、米国のリビルト部品商社からの発注を受けて、日本の部品を送るという商社に徹した。リビルト部品の製造に乗り出すまでには、4年の月日が流れた。

 最初に作ったリビルト部品はドライブシャフトだった。リサイクルという環境意識の高まりを追い風に事業は拡大、創業9年目にして売上高は10億円を突破した。現在の工場社屋が完成したのもこの頃だ。

 だが、ここで大きな壁にぶち当たった。参入企業が増え、価格競争が激化してきたためだ。部品商社は在庫がなければすぐに同業他社に乗り換えるうえ、値下げ要求も厳しい。「工場出荷量は2ケタ増なのに、売り上げは横ばい」という状況に見舞われたのだ。

ニーズを見据え電子部品の再生へ
自社開発に成功

 そこで永塚が力を注いだのが、品質管理の徹底だった。ISO9001やISO14001の認証取得もその一つの現れだ。すべての製品には新しい部品と同じように、1~2年間の品質保証を付けている。

 さらに「品質管理で差別化を図るために」と目をつけたのが、自動車部品の制御ユニット(ECU)のリビルト化だった。