橘玲の世界投資見聞録 2013年7月20日

観光客を拒絶する
ロシアの不可解なビザ申請
[橘玲の世界投資見聞録]

 ロシアは個人旅行者にとってもっともやっかいな国のひとつだ。日本人にとっては短期の観光でビザが必要な国は数少なく、たとえあったとしてもインドネシアやカンボジア、エジプトなどのように、“観光税”代わりに空港で取得できるところがほとんどだ。社会主義国のキューバや、つい最近まで軍政だったミャンマーは日本国内の大使館・領事館でビザを取得しなければならないが、手続きはかんたんで、自分でホテルを決めて勝手に旅行できる(もちろん観光客では立ち入れない地区はある)。

 それに対してロシア旅行では、旅行の日程や訪問する都市、宿泊するホテルをあらかじめすべて決めておいて、そのうえで大使館に観光ビザを申請しなければならない。ソ連崩壊から20年以上たち、民主制や自由主義経済が導入されたはずなのにいったいどうなっているのだろう。

以前は中心地から40分もかかるホテルを手配された

 以前、サンクトペテルブルクとモスクワを訪れたときは、まったく勝手がわからなかったので、飛行機と列車のほかに、ホテルの手配も旅行会社に任せた。サンクトペテルブルクのホテルはネヴァ川のほとりで、エルミタージュ美術館などの観光地も徒歩圏だったからなんの問題もなかったが、モスクワでは企業の研修所のような施設に泊まることになった(この施設そのものは、従業員も含めてソ連時代の面影がそのまま残っていて興味深かった)。

 ホテルにチェックインしたあと、観光ガイドブックの地図を見せてホテルの場所を訊いたのだが、モスクワの広域MAPにも載っていないという。スタッフは地下鉄路線図を出してきて、広域MAPの端からさらにずっと先の駅を指して「ここがいまの場所だ」という。東京でいうと立川あたりの、中心から地下鉄で40分ちかくかかる郊外に泊まることになってしまったのだ。

モスクワ郊外にあるツーリストホテル。とにかく遠い (Photo:©Alt Invest Com)

 



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 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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