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参議院選挙後のマーケット - 村上尚己「エコノミックレポート」

昨日(7月21日)に行われた参議院選挙では、事前に伝えられていた通り自民党公明党の与党が議席を伸ばし、過半数を大きく上回った。報道されているとおり、衆参ねじれが解消され、安倍政権の運営が今後より安定することになる。

昨年12月から続く自民党の勝利は、デフレと経済不調に対して有効な政策を何ら打ち出さない野党民主党の自滅、が一番の要因だろう。前政権の失敗を振り返らず、「アベノミクスへの批判」という中身がほとんどない言説を繰り返すだけのリーダーが誕生し、「健全な野党」として機能していないのだからやむを得ない。また、みんな、維新らと票を奪いあった面も大きかった。

敵失が大きかったといえ、脱デフレと経済再生を目指す安倍政権に対して、国民が期待を抱いていることは確かである。これに応えるには、「経済政策の大転換」で始まった、脱デフレと経済正常化を目指す政策運営に注力することである。具体的には、総需要不足で起きているデフレという最大の問題に対して適切な対応を続けることだ。

ようやく日本では消費者物価が前年対比でゼロまで浮上しつつあるか、2000年代に入って2回ともこうした「僅かな脱デフレの兆し」だけで、日本銀行は金融引き締め政策に転じるなど誤った政策判断が行われてきた。また、デフレを深刻化させ、名目GDPの縮小で赤字拡大をも招いたきっかけは、「経済は健全」と誤審し1997年に消費増税を含めた大規模な緊縮財政策を採用したことだった。

いずれも、消費や設備投資という国内需要を抑制してデフレ圧力を強める、つまりアベノミクスとは逆の経済政策が実現したことが、これまで長きに亘るデフレをもたらしたのである。だから、当面は脱デフレを促す景気刺激的な政策を続ける、というのが教科書的に妥当な判断であろう。

こうした意味では、まず日本銀行が+2%のインフレ目標を明言し、それを目指して量的金融緩和拡大を続ける政策姿勢を示しているのは、かつて日本銀行が犯した2回の失敗は繰り返さない、点で心強い。物価+2%をターゲットに掲げれば、今後表面上物価がゼロを上回ることがあっても、金融緩和拡大を続ける。米FRBが、インフレがプラスで推移する中で、量的金融緩和政策拡大を続けかつ低金利政策継続を宣言しているのを見習えば、+2%目標実現に向けて日銀は金融緩和のアクセルを踏み続ける可能性が高い。

一方読めないのは、3〜5%分の消費増税という大幅な家計所得減少つまり、再びデフレ圧力を強める財政政策(第二の矢)が2014年度以降採用されるか否かである。7月5日レポートでも述べたが、「脱デフレの司令塔である官邸と官僚組織の力学がどう動くのか」ということである。

実際、アベノミクスのブレーンである浜田内閣府参与が「(消費税率が5%上昇することの日本経済へのショックは)かなり大きい」と消費増税に慎重な姿勢を示している。参議院選挙の自民党大勝が、この点にどう影響するかが読めないため、選挙結果が金融市場に及ぼす影響は中立だろう。脱デフレ機運が盛り上がる前に、消費増税を含めた財政政策への疑念が、円安や株高を抑えるのではないか。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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