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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

「自民圧勝」は日本を壊すのか? 活かすのか?
参院選結果をマーケティングする

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第91回】 2013年7月23日
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 今回の参院選、たいした波乱もなく大方の予想通り自民圧勝で終わった。共産、維新、みんなは微増。民主は惨敗。これも予想通り。政治評論家などテレビや新聞でコメントしなければならない立場の人たちはさぞや苦労したことだろうと思う。それくらい、面白味のない選挙だったが、もちろん、面白味のあるなしと、重要性はまったく別物だ。面白味のない選挙結果だからといって、何の意味もないわけではない。

 今回はその意味について、マーケティング視点と社会貢献視点から考えてみたい。つまり、「数字の本当の意味を探る」というマーケティング屋としての視点と、「それが今後の社会貢献にどのような影響を与えるか」という社会貢献活動家としての視点、2つの側面からの分析である。

日本人の中にある
「変えてくれること」への期待

 まず、今回の投票率の低さ(52.51%、戦後三番目の低さ)について、識者の多くは「どうせ自分が投票しても何も変わらない」という“諦念の結果”と指摘している。しかし僕はそうは思わない。日本の国民の意識トレンドはあきらかに“変化”に向かっている。「誰か、世の中変えてほしい」という意識トレンドだ。

 これは、特に2000年代に入ったあたりから顕著になってきたトレンドであり、だから社会貢献に関心を持ち、一流企業の内定を蹴って社会起業家になるような若者が増えてきたのだ。しかしこれは「世の中、自分が変えてやる」というような意識の高い若者だけでなく、老若男女すべての人に共通する傾向で、世の中を変えてくれそうな人なら、その思考や言っていることの中身をあまり吟味せずに期待してしまうという空気感も生み出してしまっている。

 だから、「自民党をぶっ壊す」と宣言した小泉純一郎は国民的ヒーローになり、また、2009年の衆院選では一転、民主党旋風が吹き荒れた。当時は、民主党に何かを変えてくれそうな大きな期待感があり、小泉純一郎が予言したとおり、自民党はぶっ壊された。

 しかしその後、政権を奪取した民主党に変える力がないことを理解した国民は、橋下徹に期待し、橋下ブームを生み出した。だが、その期待を背負ったかに見えた橋下氏も、例の慰安婦発言をきっかけに人気が急落。そうした流れのなかで国民は、前回の衆院選だけでなく、今回の参院選においても、自民党、そして安倍総理に“変化への期待”を託しただけのこと。多くの識者が指摘するように「変わらないことへの諦め」ではなく、「変えてくれることへの期待」が、今回の自民圧勝のホントの意味ではないかと僕は考えている。

 ちなみに80年代は、「若者の政治への無関心」傾向が加速して批判もされていたが、この頃は日本経済が絶好調だったこともあり、多くの国民が「このままの世の中が続けばいい」と考えていた。今回の投票率の低さも、若者の政治的無関心のせいだとする意見も多いが、意味はまったく違う。今は、若者も大人も、世の中を変えてほしいと思っている。その結果が、今回の参院選の結果である。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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