タイ 2013年7月31日

タイ旅行をした日本人からの相談
「ホテルのベルボーイに態度を注意したら殴られました。なのに2000円弱の罰金だけ。納得できません!」タイ人経理部長ブンが在タイ日本人の質問に答える【ブンに訊け!】

バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部のタイ人経理部長、ブン(女性)が日タイの架け橋となるべく日本人からの質問に答えます。

読者からの相談:ホテルのベルボーイに頭を殴られました 

タイには観光で来ていますが、先日ホテルのベルボーイに暴行されました。非常に失礼な態度だったため、それを注意したところ、いきなり頭部を殴られました。

ホテルのマネージャーを呼び謝罪を要求しましたが、逆に駆けつけた観光警察に自分が騒いでいると誤解され、危険な目に遭いそうになりました。その後警察署に行き被害届を出しましたが、たったの500バーツの罰金でそのベルボーイは釈放。被害者の私はメガネやカバンを壊され、心にも体にも傷を負ったというのに、これでは納得がいきません。日本領事館に連絡しても「タイの司法に絡むことはできない」と言うばかり。

犯罪の被害にあった被害者は心や体に深い傷を負っても放置され、罪を犯した加害者には罰則がほとんどない。タイの法律や社会の構造がまったく理解できません。またタイ在住の日本人に相談しても、「この国の警察は駄目なんだよ」と諦めています。

しかし私には到底納得できないし、理解できません。在京のタイ王国大使館に苦情を言えば良いのでしょうか? それとももっと他に有効な方法があるのでしょうか? 是非良い方法があれば御教授いただきたいと思います。

「ここはタイだから……」と言って諦める人がいますが、罪を犯した者は厳しく罰せられ、被害者への補償も行なわれる。そういった当たり前のプロセスがキチンとなされないのであれば、この国は相当にひどい国であると思います。(イチさん)


【ブンからの回答】

いきなり……ですか?

 ベルボーイの主張を聞いていないので公正な判断はできませんが、お客様第一のサービス業であるホテルの従業員が、失礼な態度を注意されただけで暴行するというのは、たいへん珍しいケースです。

 とはいえ、謝罪を要求するからといって、イチさんが公衆の面前で相手を激しく罵ったとすれば、たとえイチさんが正しいことを主張していたとしても、多くのタイ人は「おとな気がなく、性格がネジ曲がっている人だ」と思います。

 タイには公共の場所で取っ組み合いの喧嘩をしたら500バーツ(約1650円)の罰金という法律があり、今回はそれが適応されたのだと思います。傷害罪での禁固刑もあり、犯罪者はきちんと罰せられています。この事件ひとつで「キチンとなされていないのであれば、タイはひどい国だ」と断じるのはいかがなものでしょう。

 在タイ日本大使館も在京タイ大使館も、その業務は邦人の安全を守ることであり、その国の司法に関与することはできません。到底納得できないのであればタイに来て、タイの裁判所でカタをつけることになります。

注意する権利はない

 法律的に解釈してアドバイスするなら、ベルボーイの労働に対価を払っているのはイチさんではなくホテルです。

 次回からホテルやレストランの従業員に不快な思いをさせられたら、本人に直接(感情的に)注意せずに、マネージャーや支配人にクレームしましょう。

 申し上げにくいのですが、イチさんにはベルボーイを管理する(=注意を含む)権利はありません。その権利を有するのはホテル側だけです。

昨年、タイを訪れた外国人の数は2200万人以上。一昨年比300万人増、その前の年との比較なら700万人増である。一方日本は、観光庁が「2013年は目指せ外国人観光客1000万人」と掛け声をかけているので、単純にタイは日本の倍ということになる。国別では中国とマレーシアからが200万人超と多く、日本、ロシア、インドからが100万人前後というところ。観光客の増加に伴い、『DACO』編集部のある小路100メートル四方にバックパッカー用のホテルがまたたく間に4軒ほど建った(目下5軒目が建設中)。従業員教育よりもまずは頭数を揃えなければならない超売り手市場が「客を殴らせる」のか、「客が傲慢」なのか【撮影/『DACO』編集部】

(文・撮影/『DACO』編集部)

 

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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