世界経済の3大リスク

 IMFのブランシャール調査局長は、今日の世界経済は次の図表1にある3つのリスクを抱えるとした。先週20日にロシアで開催されたG20は、まさにこうしたリスクに対処したものだった。

ポスト参院選の市場展望「Japan as No.1」の4要因 <br />日本への見直しと株高・円安、金利上昇圧力<br />――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

今日、世界を牽引するのは日米

 今日、世界を見回して気づく問題は、まず、①欧州は依然、バランスシート調整にメドがついておらず、南欧中心に政治的にも不安定さが続くこと、②2007年以降のアンカーとして拡張戦略をとった中国を中心とした新興国が、過剰設備を中心とした調整圧力の副作用を残したことにある。

 したがって、2013年以降、米日を中心とした先進国がバランスシート調整から脱して世界の成長の牽引となり、一方これまで牽引役であった中国を中心とした主要新興国は調整圧力を引きずり、2000年代と比較し低水準での成長が続く、従来とは反対の二極化構造にある。

 そこで、日本に新たな「機関車論」の期待が生じている。次の図表2のように、回復は日本と米国、停滞はドイツを含む欧州、下落は新興国の中国、ブラジル、インドといった3分野に分類される。

 それは、バランスシート調整の重み度合い、バランスシート調整の段階によるものとも考えられる。バランスシート調整にメドがついた日本と米国、その途上の欧州、バランスシート調整が新たに生じ出した主要新興国との分類である。