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就寝前の気分で睡眠に違い

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第159回】

 子どものころの夏休み。滅多に会わない従兄弟たちと遊び回り、つい夜更かしをして怒られた経験はおありだろうか。興奮醒めやらず布団に入ってもなかなか寝つけない──。

 米テキサス大サウスウエスト医療センターの研究者によると、「人を含めたほ乳類はワクワクしながら起きているか、イヤイヤ起きているかで入眠までの時間が違う」という。米国立科学アカデミー論文集掲載の研究報告から。

 研究対象はマウス。遺伝的に同じマウスを3グループに分け、1群は普段通りに生活をさせ、残りの2群は6時間ほど寝る時間を遅らせた。ただし、一方はケージを変えることで睡眠を遅らせ、他方はケージの前で手を振ったり、マウスが眠りそうになるたびに「優しく」叩いて起こし続けた。

 研究者によれば「マウスは好奇心が強いので、ケージ交換のたびにワクワクして周りの探検にいそしむ」そうだ。いわば、「もう寝なさい」と促しているにもかかわらず、遊びやゲームに没頭している青少年と同じ状態。一方の優しく、しかし強制的に睡眠を剥奪されたマウスは、お付き合いで「イヤイヤ」起きている大人たち、といったところだろう。

 その後、両群のマウスの脳波から眠気を評価してみた。その結果、睡眠欠乏量は同じであったにもかかわらず、「ワクワク」群のマウスは眠くはないらしく、普段通りに生活しているマウスたちと同じ程度に覚醒時間が長かったのである。

 このほか、覚醒状態と関連する「ダイナミン1」というタンパク質と、客観的な睡眠の必要性に対応して増加する「NDRG2」というタンパク質も突き止められた。研究者らは、睡眠前のダイナミン1やNDRG2の増減をモニターして、睡眠の質を評価する方法や睡眠障害の新たな治療法を開発する道が開けた、としている。

 さて「ワクワク」を含め興奮状態で覚醒が持続するメカニズムは、災害や捕食者の襲撃に備える動物の本能でもある。だからこそ安全な場所では眠り惚けられるのだ。

 子ども時代のメリハリがある睡眠を取り戻すには「ワクワク」が特効薬なのです。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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