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7月24日 18時0分
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日本の財政赤字を減らす確実な方法 - 村上尚己「エコノミックレポート」

参院選が終わり、日本のテーマとして、早期脱デフレを実現させる経済政策が続くかどうかに市場の注目が集まっている。当面、今後の経済、金融市場に大きな影響を及ぼすのは、2014年4月に予定されている消費増税である。

この点について、安倍首相は22日に「15年にわたるデフレから脱却する。まずそのことに集中していく」「経済情勢を見極めながら判断する。デフレ脱却、経済成長と財政再建の両方の観点から判断する」と述べた。

経済情勢を勘案せず、増税など緊縮財政だけを行っても、経済状況は安定せず事態が悪くなるのは、これまで経済低迷に苦しむスペインやギリシャなどの南欧諸国をみれば明らかである。その教訓を踏まえて緊縮財政を急がずに、まず経済を安定させる政策対応が必要という認識が世界各国で広がっている。

日本では、「ギリシャの二の舞を避けよ」とのうたい文句を掲げ、国民に対するまともな説明をせず約束を反故にして、増税を先行させた民主党政権に対して国民はレッドカードをつきつけた。まだデフレという大きな問題を抱える日本経済において、デフレ圧力を強める緊縮財政の採用には、慎重な判断が求められる。消費増税は、アベノミクスとは真逆の政策対応なのである。

もちろん経済成長と財政再建の双方を考えなければいけないが、緊縮財政採用で景気回復が途絶えて、再びデフレを深刻化させてしまえばどうなるか。1997年の消費増税で政府は財政健全化を意図したが、その後のデフレ本格化と経済の大緊縮によって、税収は減少する一方で日本の財政赤字は拡大し続け公的債務は膨れ上がった。

メディアで識者が述べているような、日本の公的債務規模が大きいため、それが持続不能あるいは大きな害悪をもたらすと筆者は考えていない。日本は世界最大の対外債権国で、しばらく公的債務はほぼ国内でファイナンスされるし、金融政策を最大限使える経済大国である(それがアベノミクスでようやく実現した)。人口動態の変化を踏まえて持続可能な財政構造・税収基盤を整えることは必要だが、まず財政赤字を縮小させる確実な手段は、経済成長を実現して税収を正常レベルに戻すことである。

実際に、2000年代初頭に日本は現在同様に40兆円規模の財政赤字を抱えたが、当時の小泉政権は金融緩和強化など経済安定化策を実現させ、財政赤字は5年間で約25兆円削減した。25兆円の財政赤字削減のうち、景気回復などによる税収増加は約13兆円と、財政赤字削減の半分に相当する(グラフ参照)。


つまり現行の税体系でも、強力な金融緩和策で脱デフレを実現し、2007年の名目GDP水準まで戻る過程で、10兆円超の税収増が実現し財政赤字は20兆円台まで減る(GDP比約5%)。これが、財政赤字を減らす最も確実な第一のステップである。

そして税収規模が90兆円台に戻り、政府が目指す名目GDP3%成長によって、税収も毎年約3兆円ずつ増えるようになる。少子高齢化に対応した社会保障やセーフティネットを充実させるには、現在の税体系では足りないだろう。ただ現在より財政状況はかなり安定する。

まず、名目GDPが3-4%成長する経済状況となり税収の水準を正常化させ確実に財政赤字を減らす。その上で、安定的な社会保障制度やインフレ構築のために必要な財源として、消費税率引き上げがどの程度必要かを検討する時間の余裕はあるということだ。

大震災後の自粛ムードと欧州危機の喧騒の中で、前政権が国民との約束を反故にして決めた増税は、本当に財政健全化を実現させる政策なのか?仮に増税するにしても、デフレ圧力を強めるリスクに細心の注意を払い、そのタイミングと増税幅を考え、そして景気変動を均す措置が必要である(法人減や自動車関連税の減税)。また、日本銀行は景気の落ち込みを和らげる金融緩和を一段と強化することになる。

今後の安倍政権の対応を見定めて、2014年以降もアベノミクス相場が続くかどうかを、投資家は冷静に判断する必要がある。


(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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