8月10日に郷里の山形県鶴岡市で開かれた赤川花火大会を見に行った。地元の人びとの手づくりの運営がさわやかな印象を与える大会である。近年は花火が大規模化して、すごい迫力になっている。打ち上げ幅700メートル、10ヵ所以上から1万3000発を打ち上げる方式は他に類を見ないという。

 広大な川原で鑑賞する人びと(観客数39万人)の多くは、ビールや地酒と一緒に大量の「だだちゃ豆」を持参していた。独特の甘みのある枝豆で、最近は東京のスーパーでも販売されている。

 しかし、地元で購入するほうがやはりうまい。この庄内地方の人びとにだだちゃ豆の上手な茹で方を尋ねると、話が止まらなくなるので注意が必要だ。よりよい風味を求めて工夫を重ねているので、熱い議論が始まるのである。

 花火大会の翌日、だだちゃ豆の本場である鶴岡市郊外の白山(しらやま)にある旧知の農家を訪ねてみた。今シーズンは好天に恵まれたものの、7月中旬の雨で発育がよくなり過ぎ、豆が軟らかくならないように制御するのが難しかったそうだ。

 ガソリンや飼料の価格高騰は日本の農業を苦しめている。ただし、この農家は有機栽培を行なっているため、相対的には悪影響は強くないという。とはいえ、天然鉱石から取れるミネラルの価格は中国の買い占めで急騰している。また、石油高騰につられて価格が上昇している資材も多い。