5月22日のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言以降、FRBの資産買い入れ政策(QE)の縮小・終了観測が強まり、米国を中心に世界各国の長期金利が上昇し、債券価格は下落した。

 FRBが意図したのは、FRBの流動性供給をよりどころとした株価や住宅価格の過度な上昇を抑制することであり、利上げまで意識されて長期金利が大幅に上昇することは望むところではなかった。しかし、ボラティリティ(変動幅)の急上昇や持ち高の損切りなどを背景に各国の中長期債利回りは上昇し、中でも中期債の利回りが上昇したことで、利上げ期待も高まる格好となった。

 その利上げ期待を沈静化すれば、中期債の利回りが低下し、長期金利低下を促すことも期待できる。FRBメンバーが利上げは遠いとの認識を市場に浸透させるのに苦慮する中、長期金利上昇を抑制すべく、まずはECB(欧州中央銀行)とBOE(イングランド銀行)が動いた。

 ECBは中期的なインフレ期待、経済動向、マネー動向などを踏まえ、現在の金融緩和策を「必要なだけ」持続するとの先行きガイダンスを提示し、BOEも同様のガイダンスを8月に導入する方向性を示した。

 低金利政策の持続を約束した格好のECBやBOEに対し市場は好意的に反応し、利上げ期待はユーロ圏と英国ではほぼ収まった。世界的な金利上昇の震源地である米国では、利上げ期待を抑え切れない状況が続いているが、今後は、利上げの条件となる失業率の閾値(いき ち)をより下げることなどで、利上げ期待を鎮めにかかると予想される。