Googleストリートビュー
ストリートビューの画面、カリフォルニア州Mountain View にあるGoogle本社前。ズームアップも自在

 Googleマップの新しい機能、Googleストリートビューがネット上で話題になっている。Googleストリートビューとは、道路上の風景画像を見ることができるサービスだ。例えば、ダイヤモンド社本社の住所を入力し、Googleマップに表示される「ストリートビュー」ボタンをクリック。すると、ダイヤモンド社のビルの写真が映し出されるのである。さらにはマウス操作などにより、その土地を歩く人の視点で街の中を探索することができる。

 画期的ともいえるGoogle ストリートビューについて、ネット上ではブログ、SNSなどで盛んに取り上げられている。Googleブログ検索で「ストリートビュー」を入力すると、「検索結果 約 38105件」と表示される。新聞などを対象としたGoogleニュースの検索結果が81件であるのに対して圧倒的な多さだ。(*1)

 Googleブログ検索で上位表示されたブログ中、およそ100件を見てみた。「すごい」「便利」といった驚きや絶賛の声が約半数。その一方で、プライバシーに関する問題提起をしているものが約4割、そのほか、怖い、気持ち悪いといった感想を載せているものが多数あった。(*2)

 「すごい」「便利」だといわれているのは、画像が前後左右、360度連続している点にある。「←南西」「北東→」などの矢印をクリックすると、画像は矢印の方向に移動し、ユーザーは付近を散歩しているような気分になる。

 立ち止まって、画像をドラッグし、上下に動かす。すると、建物の上階から足元の道路まで見渡すことができる。何階建ての建物か、道路はアスファルトなのか石畳かといったことまでわかるのだ。(*3)

 ビジネスとしての利用もアイデア次第で使い道は多岐に渡る。訪問場所の下調べや不動産物件の閲覧、さらには自社社屋やイベント会場などへの道案内など、ネット関連事業者以外の人にも使い道は多くある。特に、営業部門などでは重宝しそうだ。

 その一方で、一般民家や通行人まで映っている点について、問題だとする声も多い。自動車のナンバープレートも、4桁数字ならば十分認識可能な解像度だ。ブログ上でも、自宅の外観が他者に知られるのはイヤだ、洗濯物まで見えるのはいかがなものか、といった声が挙がっている。

 グーグルによると、画像は公道から視覚的に見えているものだけを使用するなど、「個人情報保護に尽力している」という。また、日本でのストリートビュー機能には、識別可能な人の顔をぼかす技術が用いられている。さらには、利用者がグーグルに対して、自宅などを含め、特定の画像を削除するよう「警告する機能」を用意している。利便性と個人情報保護、相反する両者について、何を優先し、どう対応すべきか。Google ストリートビューをめぐるネットでの議論は、まだまだ続きそうである。

(江口陽子)

(*1)2008年8月20日現在
(*2)2008年8月17日現在
(*3)機能がリリースされた8月5日の時点で、札幌、小樽、函館、仙台、東京、埼玉、千葉、横浜、鎌倉、京都、大阪、そして神戸の 12 都市を網羅。ただし、市区町村によっては対応していない場所もある。