サイコロ給にスマイル給
サイコロを振って給料を決める

サイコロで給料を決める<br />ユニークな会社があった<br />【企業インタビュー:カヤック編】柳澤大輔(やなぎさわ・だいすけ) 面白法人カヤック代表取締役。1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、鎌倉からオリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。主要事業のほかにもカヤックが運営する飲食店「DONBURI CAFE DINING bowls」の運営や2009年、ビンボーゆすりを科学したプロダクト「YUREX」の開発のプロデュースにたずさわる。100以上のクリエイティブディレクターをつとめる傍ら、2012年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル、2010年東京インタラクティブ・アド・アワード、2010~2013年Yahoo!インターネットクリエイティブアワードなどWeb広告賞で審査員をつとめ、著書に「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)、「アイデアは考えるな」(日経BP社)、などがある。ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給)や、ワークスタイル(旅する支社)を発信し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。

本田 こちらには有名なサイコロ給がありますよね。

柳澤 サイコロを振って、6が出れば基本給に6%が加算される仕組みです。5なら5%。4なら4%です。6、7年前に、そこにあたらしい仕組み「スマイル給」を加えました。毎回、ランダムに決まる社内の相手に対して、相手を褒めてあげると、それが給与明細にのる仕組みです。
「○○給 0円」と相手から評価してもらうことで、給与明細を開く楽しみを大きくしよう、0円だけど価値のある給与はあるはずだ、と考えました。

本田 面白い仕組みですね。

サイコロで給料を決める<br />ユニークな会社があった<br />【企業インタビュー:カヤック編】サイコロを振って、6が出れば基本給に6%が加算される仕組み。

柳澤 でも、明細を開けたときに、スマイル給がないとがっかりしますよね。そこで人事が考えたのが、「スマイル給」を書かないと「サイコロ給」は出ない、というルール。「サイコロ給」は最低でも1%、最高なら6%の基本給アップになります。30万円の給料なら、1万8000円。40万円なら、2万4000円です。

本田 決して小さな額ではありませんね。

柳澤 これなら、きっとスマイル給を書くだろうと思ったら、やはり書かない社員はいるのです。このときにわかったことは、意外にお金をみんな、気にしていないのではないか、ということでした。面倒なことはやらない、というよりは、お金に関心がない。たった一言スマイルを書くだけで済むのにやらないんですから。

 カヤックはウェブ業界の普通の給与水準だといいます。つまり、給料に関してはそれで満足している、もっと大きく求めようとはしていない、ということなのかもしれません。