今月8日、カジュアルファッションのSPA(製造小売り)、へネス・アンド・マウリッツ(H&M)の日本2号店が原宿にオープンした。1号店の銀座店が9月に開店したときと同様に、原宿店にも長蛇の列ができ、11時の開店時だけでも約2000人が詰めかけた。いまなお、銀座店ともども店内は人で溢れ返っている。

 絶大な人気の理由は、商品のファッション性と低価格にある。

 自社お抱えデザイナー約100人による商品は、「流行を追っていてオシャレ」(原宿店開店に並んだ20代男性)と好評。

  また、「いろいろな物が限定商品」(クリスティン・エドマンH&Mジャパン社長)というように、最短2週間のリードタイム(製造命令から納品完了までの時間)で少量生産される、最先端の“ハイファッション”が日々導入されるのも魅力だ。

 すでに持っている服との相性やサイズなどを家で確かめ、気に入らなければ30日間交換・返品が可能なサービスがあるなど、ファッション性を追求する姿勢は徹底している。

 一方、低価格は、世界32ヵ国・約1600店舗で販売するスケールメリットや、徹底した生産委託業者の選定などで実現する。

 これらH&Mの基本方針に加え、2号店の原宿店には、コム デ ギャルソンの川久保玲氏がデザインしたH&M限定商品や、1号店の銀座店にはないヤング/ストリート系ラインの「DIVIDED」が入るとあって、話題を呼んだ。

 しかし、エドマン社長は「ブームで終わらないためには、お客様の声を重視したサービスの改善が必要」と語るなど、盛況ぶりを冷静に受け止める。

 具体的な改善点はまだ絞り切れていないというが、日本上陸前から問題視されている裾上げなどの“お直し”サービスも検討中とのこと。また、混雑が落ち着いてくれば、H&Mが推奨する「Mix & Match(ミスマッチ風な組み合わせ)」をアドバイスするなど、独自の接客サービスで顧客層拡大を仕掛けてくる可能性も考えられる。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 新井美江子 )