生きているだけで
幸せなんじゃないかと思えるはず

『ノーボーイズ,ノークライ』<br />妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー
つまぶき・さとし/右
1980年12月13日生まれ、福岡県出身。テレビドラマ『すばらしい日々』(98)でデビュー。初主演映画『ウォーターボーイズ』(01)でブレイク。『どろろ』(07)『感染列島』(09)など数多くの映画に出演し、09年のNHK大河ドラマ『天地人』で主人公・直江兼続を演じ、国民的俳優に。
は・じょんう/左
1978年3月11日生まれ。主演作『許されざるもの』(05)がカンヌ国際映画祭で絶賛され、世界の注目を浴びる。韓国の鬼才キム・ギドク監督の『絶対の愛』(06)『ブレス』(07)に立て続けに出演。連続殺人鬼を演じた『チェイサー』(08)の鬼気迫る名演で、韓国の映画賞を総なめ。

 NHK大河ドラマ『天地人』での主演をはじめ、様々な話題作に出演し、国民的人気を誇る妻夫木聡。韓国を震撼させたクライム・サスペンス秀作『チェイサー』で鬼気迫る演技を披露し、高い評価を得たハ・ジョンウ。日韓の若手トップ俳優が共演したのが、『ノーボーイズ,ノークライ』。繊細な人物描写で定評のある人気脚本家・渡辺あやと韓国の俊英キム・ヨンナム監督による日韓合作映画で、人生の困難と希望が描かれていく。

 幼い頃に母親に捨てられた孤独な青年ヒョング(ハ・ジョンウ)と、家族を守るために必死で生きる亨(妻夫木聡)。ある事件に巻き込まれたことから運命共同体となり、絆を深めていく青年同士を演じた妻夫木とハに、映画について、そしてテーマである友情について話を聞いた。

──今回、日韓合作映画に出演して、どんなことを感じましたか?

妻夫木聡(以下、妻夫木):芝居でも人生でもそうですが、正解というものはないと思うんです。何が起きるか分からない世の中で何を楽しむか、どう生きるかはそれぞれの価値観による。だからこそ人生は楽しくなると思うのですが、今回、ハ・ジョンウさんと出会えたことは僕にとっては大きな財産となりました。言葉の壁を乗り越えて、互いに影響を与え合うことで、(映画も)面白くなったんじゃないかと思います。それから今回の出会いを通じて、アジアはもっともっと面白くなるという可能性を感じました。

ハ・ジョンウ(以下、ハ):今回、初めて日本の方々と近しく仕事をしました。その中で感じたのは、日本人の温かさでした。

『ノーボーイズ,ノークライ』<br />妻夫木聡×ハ・ジョンウ インタビュー
撮影中の様子。中央のピンクの服がハ・ジョンウ、右端が妻夫木聡。ハ・ジョンウの左はキム・ヨンナム監督

 撮影中は、通訳の方に一言一言、息づかいまで含めて逃さず訳していただきました。そうしているうちに、妻夫木さんのニュアンスや感じていることを、僕も感じるようになったんです。そこで実感したのは、人間というのは、情を持って親密に接していたら、言葉なんか関係ないということ。人間にはテレパシーのようなものがあり、それが化学作用を及ぼし、作品的にも良くなったのだと思います。