アイドルグループAKB48を目当てに、秋葉原の小さな劇場に詰めかける若者たち。自分に近いという親近感が、ファンを惹き付けている。

 東京・秋葉原の小さな劇場には、毎日夕方6時を過ぎると、多くの若者が詰めかける。お目当ては、アイドルグループAKB48の公演だ。いま、この劇場に、世界の大物プロデューサーが続々と訪問。その狙いはAKB48のビジネスモデルを海外で展開することだ。

 マンガやアニメなど、クールジャパンとして海外で人気の日本の文化だが、いま「アイドル」というコンテンツもファンを獲得しつつある。そのアイドルが、150兆円ともいわれる世界の巨大コンテンツ市場を目指している。

 今回番組で注目したのは、AKB48をプロデュースする秋元康氏。「フォーマット戦略」で海外に挑む。その戦略は、AKB48そのものではなく、そのコンセプトを世界に広げるもの。勝負の場は、世界の大物プロデューサーが集まる、フランスのコンテンツ見本市。アイドルをめぐる新たなビジネスは成功するのか――。プロジェクトの舞台裏に密着した。

NYの名門ライブハウスで
アキバアイドルが単独ライブ!?

マドンナもステージに立ったことのあるNYの名門ライブハウスで行なわれたAKB48の単独ライブ。会場には、800人を超えるファンが詰めかけた。

 まず秋元は今年9月、「実力を試したい」と、ニューヨークで単独ライブを行なった。会場は、かつてマドンナもステージに立った名門のライブハウス。普段、ステージの運営には、口を出すことのない秋元がこの日、メンバーに檄を飛ばした。

 「全力を出せ。君たちよりも歌がうまい、ダンスがうまい存在はアメリカにいっぱいいる。勝てることは一生懸命さだ。日本のアイドルはすごいという姿を見せて欲しい」

 会場には、800人を超えるファンが詰めかけた。2時間のライブは英語に翻訳した2曲以外、すべて日本語。現地のファンも日本語で歌うほどの熱狂ぶりだった。ライブで出会ったサマンサ・ブロムリーさん(21)は小さな頃から、アニメを通じて日本の音楽が好きだったという。AKB48のことは3年前、インターネットで知った。以来、世界中のファンとネットで情報交換をしている。その魅力は、親近感、大勢の中から自分に近い女の子を見つけ、応援する楽しみだという。

 「一生懸命歌い、踊る姿は私たちのあこがれだ。アメリカのセレブはみな傲慢な感じだが、AKB48は積極的にファンと接してくれるのがいい」

日本人は商売下手?
戦略なきコンテンツビジネス

 しかしアジアでは、日本を真似たと思われるグループアイドルが登場し、海外進出を始めている。台湾の「hey-girl」は、秋葉原にいるメイドのようなコスチュームで歌い踊る。韓国の「少女時代」は、韓国政府の支援を受ける。今年10月、東南アジアへの進出には資金の援助やプロモーション会場の提供を受けた。

 ライバルの出現だけではなく、ビジネスのやり方にも課題がある。

 例えば、アメリカで人気のPuffy。2人を主人公にしたアニメ「HIHI PUFFY AMI YUMI」は、アニメ専門チャンネルで放送。初回の視聴率は開局以来最高を記録し、番組は110ヵ国以上に輸出された。しかし、収益の多くは日本に入っていない。アメリカ側がアニメ化を提案・制作し、著作権を抑えたからだ。プロデューサーのサム・レジスター氏は言う。