お盆休みの帰省の度に感じる寂しさ
日本の過疎地域に迫る「2015年危機」

 お盆休みを故郷で過ごしている人は少なくないだろう。そして、帰省の度に過疎化や衰退化が進む故郷に寂しさを感じるという人も多いのではないか。

 日本の地方の窮状が深刻化している。地域経済は疲弊し、過疎化や高齢化に歯止めがかからない。なかでも深刻なのが、中山間地域である。住民の半数以上が高齢者という限界集落が一般化し、今や存続そのものが危うくなっている集落が増えている。

 こうした過疎地域に「2015年危機」なるものが迫っている。地方から都市部への人口流出は高度経済成長期に始まり、以来、半世紀が経過した。この間、地元に残って地域や地場産業を支えてきたのが、昭和ひとけた世代である。

 そうした世代が2015年には全員80代となる。彼らの大量引退は避けられず、新たな難問が生じると見られている。

 田畑や山林の所有権の継承に伴う課題である。彼らの資産を相続する人のほとんどが都市部に居住している。地域を支えてきた昭和ひとけた世代に代わり、大量の不在地主が誕生することになる。

 担い手の消滅により、田畑や山林、家屋などの維持管理は一層困難となる。また、地元の伝統文化や技、知恵といった無形の財産の喪失も不可避となり、地域の荒廃が一気に加速するのは必至だ。

 厚生労働省の『将来推計人口』によれば、人口5000人未満の小規模自治体が激増し、2040年には全自治体の5分の1以上を占めるという。

 人口減少が進むと同時に、居住者がいなくなる無人化地域も拡大することが予測されている。現在、日本の国土の約5割に人が居住しているが、国土審議会の『国土の長期展望』(2011年)によると、2050年までに居住エリアは約4割に減少するという。