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安東泰志の真・金融立国論

個人投資家がアベノミクス相場に乗れない理由
異常に高い投資信託の手数料を撃つ

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第36回】 2013年8月19日
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株式相場は、5月下旬以降は一進一退であるものの、昨年来、趨勢的には上昇基調にある。本来であれば、個人投資家は、このアベノミクス相場に乗って、少なくとも平均株価の上昇率程度の利益を確保しているはずなのだが、必ずしもその利益水準に達していない投資家が多いのではないだろうか。その理由は、日本独特の投資信託の設計や販売方針にある。そして、それは、日本のファンドマネジャーの質の低下という問題に繋がり、それがますます個人投資家の投資利益を圧迫するという悪循環になっているのではないだろうか。

手数料が高すぎる日本の投資信託

 年金積立金管理運用独立法人(GPIF)の推計値によれば、日本株式の期待リターンは年率4.8%、国内債券の期待リターンは年率3%、海外株式の期待リターンは年率5%、海外債券の期待リターンは 年率3.2%である。

 期待リターンとは、歴史的なデータから、各々の投資商品が平均して何パーセントの利益を生むかという指標である。アベノミクス相場によって、昨年末から今年5月中旬までの期間を取れば株式の期待リターンは短期的には大きく膨らんだ一方、騰落率(ボラティリティー)も高まっているので、短期的な売買では大きな損失を生むリスクもある。個人投資家が使う指標は、GOPIFが用いているように、より長期の推計値であるべきだろう。

 日本の投資信託は、主としてこれら4つの資産のいずれか、またはその組み合わせに投資をするものであり、幅広い銘柄を一人で調査することや、売買をすることが困難な個人投資家にとっては、本来、投資信託は頼りになる投資手段のはずである。しかし、なぜか投資信託を買っても、上記のようなリターンが出ている実感がない投資家が多いのではないだろうか。その理由は簡単である。手数料が高いのだ。

 投資信託の場合、手数料は、①販売会社(銀行・証券会社など)が販売時に徴求する「販売手数料」、②委託会社(運用の指図を行なう運用会社)・受託会社(財産管理を行なう信託銀行など)・販売会社の3者が分け合う「信託報酬」、③その他の費用(監査費用など)があり、投資家は、投信を購入した年には、①②③の合計額を手数料として支払うことになる。その料率は、若干の幅はあるものの、①の販売手数料が概ね2~3%、②の信託報酬が1.5~2%であるが、③については実費請求とされており、事前にわからないものが多い。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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