J.フロント リテイリングの業績が好調で、今年度は過去最高益を更新する見込みだ。足元の消費動向や事業の見通しなどを聞いた。

J.フロント リテイリング社長 山本良一<br />M&Aを積極的に活用し<br />早期にROE8%目指すPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──足元では高額品の消費意欲が高まっています。

 美術品や宝飾品、海外高級ブランドなどの高額品の売上高は前年比2桁増で、ミニバブルといっていいような状況です。

 しかし、高額品を除けば、それほど消費意欲は高まってはいません。特に百貨店の主力商品であるファッション分野については、高額品のような右肩上がりではなく、季節変動等によって上がったり下がったりしています。また、価格志向や節約志向はいまだ根強く、全体が底上げされて百貨店の業績が上がっているという認識はまだありません。

──円安や消費増税による駆け込み需要の影響もあるのでしょうか。

 足元の高額消費の増加については、消費増税の影響はそれほど大きくはないでしょう。1997年4月に消費税が3%から5%に上がった際も、駆け込み需要が起きたのは増税の1、2カ月前のことでした。

──今年度の営業利益目標は過去最高の400億円ですが見通しは。

 現行の3カ年の中期経営計画において今年度は最終年度です。目標としている営業利益400億円は、今の流れからすると達成は可能でしょう。さらに来年度からの次期中期計画の最終年度には営業利益500億円を目標とする予定です。そのためには百貨店やパルコなどの既存事業の成長に加え、M&Aも検討していきます。