合併以来、長らく有利子負債の削減や優先株の消却などに苦しんできた双日。ようやく財務体質の改善が進み、積極投資へ反転攻勢をかけるが、“復活”への道のりは平坦ではない。

「今ネガティブの格付けを、何とかしなければならない」──。

 双日社内の経営会議で、就任2年目に突入した佐藤洋二社長の声が響き渡る。

 格付け会社ムーディーズは、2009年11月に双日の格付けを投資不適格の一歩手前である「Baa3」に引き下げ、それ以降見直していない。好業績の他商社はいずれも「A1~Baa2」であるにもかかわらずだ。

 確かに、わが世の春を送る上位の商社に比べて、双日の財務基盤ははるかに見劣りする。例えばトップを走る三菱商事の13年3月期の純利益は3600億円なのに、双日は同143億円。自己資本比率も三菱商事の29.3%に対し、双日は16.9%と大きく引き離されている。

 格付けが悪いと金融機関の目は途端に厳しくなるだけに、さまざまな事業に投資して収益を伸ばすビジネスモデルの商社にとってはまさに致命傷だ。だが、格下げされてから3年以上がたった今も、市場の不安を払拭できておらず、格付けの回復は喫緊の課題だ。

 それだけに、もともとCFO(最高財務責任者)だった佐藤社長は12年4月に就任以来、これまで以上に財務基盤の拡充に心血を注いできた。

 12年11月には子会社の双日エネルギーをコスモ石油に売却、13年5月には大規模な不動産事業をファンドへ売却するなど、不採算事業の処理を進めた。1年で約810億円もの資産の圧縮を図っている(図(1))。