株式レポート
8月19日 18時0分
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最近の物色傾向 - 広木隆「ストラテジーレポート」

先週の木曜日、テレビ東京ニュースモーニングサテライト(モーサテ)に出演した。スタジオ・コメンテーターという立場で出演するからには、言いたいことだけしゃべって帰るわけにはいかず、様々なニュースにコメントする、というのが仕事である。僕以外のレギュラー・コメンテーターは、みなさん本当に幅広い見識をお持ちで、どんな話題でもそつ無くコメントされているが、なにぶん僕は了見が狭い、いや、違った、見識というか視野が狭いので、専門外の話題を振られても、うまく受け答えができないのである。前回の放送では、コンビニのセブン・イレブンが低カロリーのサンドウィッチを開発した、というニュースがあった。
「広木さん、いかがですか?」
「う〜ん、僕もカロリーが気になりますから、これ、食べたいと思います」
と、まったくどうでもいいコメントしかできなかった。
円安の影響で三越伊勢丹が国内製品の品揃えを増やしているというニュースに対しては
「僕も三越伊勢丹さんはよく使わせてもらってるんですよ」
と、なんらニュースの内容と関係ないことを言い出す始末。

モーサテには「日経超特急」というコーナーがある。その日の日経新聞の朝刊から気になる記事を紹介するコーナーだ。これについても、答えやすい記事と答えにくい記事がある。前回は「当たり」だった。モーサテが選んだ記事は、「自動車・不動産株の戻りが鮮明」という株式市場の業種動向だった。いつも小声でゴニョゴニョとお茶を濁すようなコメントでその場をつくろっている僕も、この話題にはここぞとばかり胸を張ってこう答えた。
「僕はこの<アベノミクス相場>が始まったときから、自動車と不動産が本命の2本柱だ、と言ってきました」

嘘ではない。昨年11月の衆院解散宣言直後の11月16日付けレポートで、こう述べた。
<結論:「政権交代→日銀への圧力強化→リフレ的政策期待→円安・株高」というシンプルなシナリオを素直に信じていい。昨日買われた銘柄群がそっくりそのまま、今後の相場の有望銘柄になり得る。筆頭は不動産株だ。 (中略) ストレートに、シンプルに考えて円安シナリオに乗れば、自動車をはじめとしたグローバル景気敏感株も買っていける。自公政権樹立ならば公共投資関連、建設株も素直にいいだろう。>
脱デフレを最優先課題に掲げるアベノミクス。デフレを脱しインフレに向かうならば、実物資産が選好される。不動産株は今回の相場の先導役だ。デフレ脱却、イコール円高の転換である。このロジックは何度も述べてきた。円安と米国景気回復の組み合わせから、自動車株が買われるのは自明の理である。

12月14日付けレポート「何を買うか」では、主要カテゴリーを4つに分類してこう提示した。



このグループ分けはセミナーでも使い続けてきた。相場観は変える必要がなかった。初めて見方を提示した日付、昨年の11月16日を起点として先週末8月16日までの業種別騰落率を見たものが表1である。自動車が5位、不動産が6位である。その他、ソフトバンクなどが牽引した情報・通信が8位。内需株で不動産とともに掲げた金融株も上位に入っている。



先月25日に開催した直近のオンライン・セミナーでも、このグループを有望セクターとして紹介したが、その際、従来と少し違う説明をした。それは補足がひとつ、新規アイデアがひとつである。



補足のほうは、ユニチャームなど外需ディフェンシブ、いわゆるディフェンシブ・グロースのグループをリスク・ヘッジとして推奨したのだ。これらは「アベノミクス」が始まる前から頑張っていた企業であり、アベノミクスとは関係がないところに成長の源泉がある企業である。だから、仮にアベノミクスが失敗に終わっても、そのマイナスの影響が軽微であろうと思われるので、リスクヘッジとして、シナリオ分散の意味で投資に値する、と位置づけたのである。
新規アイデアは、商社、非鉄など資源株である。商品市況やエネルギー関連を「最後の出遅れ・逆張り株」と位置づけた。そして、その投資タイミングは「いつやるか?」「今でしょ!」をもじって、「今じゃないでしょ!」としたのである。「今じゃない」けれど、年度後半には絶好の投資チャンスが来そうだから、そのタイミングを今から着々と狙っていこう、と述べたのだ。

米国のシェール革命でエネルギー価格が抑えられ、そこに新興国の景気減速が重なる。商品市況やエネルギー価格は上昇しない。それらの市況が軟調なうちは商社や非鉄などの資源関連は冴えないだろう。しかし、市況にしろ景気にしろ循環するものだ。米国景気が回復し、日本もアベノミクスでデフレを脱却、欧州すら最悪期は過ぎた感がある。アジアは依然として好調だ。新興国の戻りもそう遠くない。そういうヨミだった。

ところが。

マーケットの動きは速い。ここ1カ月ばかりのパフォーマンスを見ると、トップは非鉄(表2)。2位は石油である。その他も海運や商社が上位にランクイン。ガラス・土石、鉄鋼など素材関連も目立つ。トップ10からは漏れたが鉱業も12位になっている。



バルチック海運指数というインデックスがあるが、これは鉄鉱石などを運ぶばら積み船の海運運賃の指標である。先週末まで4日続伸して1100の大台を回復してきた。

先週金曜日の日経新聞は、鉄鉱石の国際価格が5カ月ぶり高値をつけたと報じた。指標となる中国向け豪州産のスポット価格は直近の安値の8月初旬から1割上昇しているという。

中国景気が再び活気を取り戻してきていることがここから読み取れる。無論、以前のような高成長は期待できないものの、一時的にせよ最悪期は脱した可能性がある。素材関連や資源関連への投資チャンスは案外、早かったかもしれない。(乗り遅れたかも?)

三菱マテリアルの株価が高い。先週金曜日には利益確定売りで下げたが、今日はしっかりと反発した。15日には416円まで上昇、連日で年初来高値を更新した。2008年8月以来、5年ぶりの高値水準だ。8月に入って銅価格の戻りが鮮明になっている。中国の景気先行きに対する過度な悲観論が後退して、非鉄の需要が伸びるとの観測が出ていることも買い材料となっているのだろう。

今日の相場で目立ったのが石油株の上昇。東証33業種分類ではトップだ。JXホールディングスが4%の上昇、出光興産が3%の上昇で同セクターを牽引した。

原油取引でアジアの指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格は続伸し4カ月半ぶりの高値圏。原油輸送の要衝であるスエズ運河や欧州向けパイプラインを抱えるエジプト情勢の緊迫化で供給懸念が意識されているためだ。ニューヨークのWTIは6日続伸して同じく107ドル台とこちらも高値圏にある。



エジプト情勢の緊迫化 → 原油価格の上昇 → 石油株の上昇、とそんな単純な連想をしてはいけない。日本の石油株というのは石油を掘っているわけではない。彼らは精製業者である。彼らのマージンを決めるのは、原油と製品価格の差 - 商品業界用語で「クラック」という - である。ここでは代表的なガソリンと原油価格のスプレッドを示した。石油元売り業者の株価との連動性が見て取れるだろう。石油業界では今下半期に製油所の能力削減が予定されていることなどから、今後の石油製品スプレッドは堅調に推移する可能性が高いとの見方があるがどうだろう。都内などではガソリンスタンドがどんどん減っている。それを受けての製油所の能力削減なわけだから、そもそも需要が強くない。今後も石油製品スプレッドが堅調に推移するかどうかは定かではないと思う。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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