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今週の音盤=心のビタミン ビジネス・パーソンのための音楽案内

【高中正義「ブルー・ラグーン」】
歌のないギターが主役の希有なヒット曲

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第66回】 2013年8月22日
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 何事につけ、本当に好きになった事というものには、一切の理由も理屈もなく、ただ好きになってしまったとしか言いようがないと思いませんか?

 何故それ(例えば、鉄道や写真や蝶々やプラモデル等々)が好きか、と問われても、答えに窮してしまいます。とりあえず、その場を取り繕うだけならば、適当に世間受けのする答えは難しくはありません。しかし、本質的に何故、それが好きか説明するのはほぼ不可能でしょう。

 好きになってしまう対象も千差万別、人それぞれです。まさに一人一人の個性が違うように、心底好きになる事柄もそうです。

 そして、興味の尽きない考察の対象となるのは、好きな事と仕事の関係です。理論的に言えば、好きな事を仕事にすることの幸福と不幸があるように、好きな事と仕事が別々であることの不幸と幸運があるようです。それでも、心底好きなことを職業にできることは、そのことで苦労の種を抱え込んだとしても、やはり素晴らしいことのように思えます。

 好きな事が仕事になった瞬間に単に己の趣味を越えてしまいます。仕事の関係者や顧客などの意向は無視できません。それでも、好きな事をやって生活の糧を得ることは(様々な制約が課されたとしても)特権的なことに違いありません。

 例えば、三度の飯よりギターが好きな少年・少女は無数にいるでしょうが、職業ギタリストとして生きていける人は一握りの実力と幸運の持ち主だけです。

 と、いうわけで、今週の音盤は高中正義「ブルー・ラグーン」(写真)です。

歌手が声で歌うようにギターを歌せる

 高中正義の「ブルー・ラグーン」は、日本の現代音楽シーンで特別な地位を占めています。日本に限らずどこの国・地域でも、人々が愛する音楽は基本的に歌です。そんな中で、「ブルー・ラグーン」は歌のないギターが主役の曲としてチャート上位に食い込んだ稀有なヒット曲です。もちろん、数多くのギター小僧達が一生懸命コピーした訳ですが、ギターを弾かない普通の人たちをも魅了したのです。その秘密は二つです。

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小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


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ビジネス・パーソンは日夜、現場で闘って、日々、喜怒哀楽を感じる。実は音楽の現場も同じだ。だって、音楽もビジネスも、所詮、生身の人間が作る、極めて人間くさい営みだから。音楽には妙な薀蓄など不要かもしれないが、音楽が生まれる時には物語がある。それを知って聴けば、喜びが倍になり、悲しみが半分になるかもしれない。毎週1枚、心のビタミンになるような音盤を綴ります。

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