ベトナム 2013年8月28日

日本人高校がないベトナムでは、
子どもの小学校選びが、家族全員の人生設計を左右する

ベトナム人の奥さんとの間に8歳になるお嬢さんを持つ中安さん。今でもこの時季になると「娘を日本人学校に入れたのは、正解だったのかどうか」という自問自答を繰り返すという。今回のテーマは、海外で暮らす日本人が必ず直面する「子どもの学校問題」です。

ベトナムの日本人学校は小学校と中学校しかない

 9月はベトナムでは新学期の季節である。ただし我々夫婦の娘は、日本人学校に通っているため、9月は年度始めではなく、日本と同じ2学期の開始だ。こういう節目の季節になると、私は「娘を日本人学校に入れたのは、正解だったのかどうか」という自問自答を繰り返す。

 日本では、「日本人の子どもだから、日本の教育を受ける」というのは、当たり前のこと。しかし海外で生活している日本人にとっては、まったく違う意味合いを持って来る。それはなぜなのか。

 ベトナムには、在留届を出している数で約1万人、実際にはその2倍程度の日本人が住んでいると言われている。家族で暮らしている人も多い。そういう人たちに向けて日系の教育機関もある。日本人幼稚園は、ホーチミン市に3つ、ハノイに2つある。日本人小中学校はホーチミン市、ハノイ共に各1校。ところが高校はない。

ホーチミン市で最初にできた日本人幼稚園である「ともだち幼稚園」。これは2008年4月に娘が入学した日に撮影したもの。住宅街の中の一軒家を利用していてアットホームな雰囲気だ【撮影/中安昭人】

 ベトナムだけではなく、日本人学校は世界共通で小中学部だけなのだ。唯一の例外は2011年4月に世界初の在外日本人高校として開校した「上海日本人学校・高等部」のみ。この「日本人高校がない」ということが、海外に長く滞在している日本人にとって悩みの種なのだ。

 ここで少し海外の学校事情について説明しておきたい。日本人学校とは、「日本国内の小・中学校と同等の教育を行なう目的で設置されている全日制の学校で、文部科学大臣が認定した学校」のこと。これに対し、現地の学校に通う日本人児童・生徒に対して、週末や平日の放課後に開設されている教育施設のことを「日本人補習校」という。なお「日本人学校は中学までだけ」と書いたが、補習校に関しては高校を設けているところもある。

 日本人学校は86校、日本人補習校は214校ある(海外子女教育振興財団調べ。2011年4月15日現在)。アジア圏と北米地域には、同じくらい数の日本人が住んでいるが、アジア圏に日本人学校が多く、北米には補習校が多い。北米では「英語を身につけておくと、子どもの将来にとってプラスになる」と、現地の学校に通って英語を身につけさせたいと考える親が多いからだろう。

 一方アジア圏の国々で、現地の公立学校に通うメリットは低い。だから、日本人学校に通わせて、日本語での教育を受けさせたいと考える親が圧倒的に多い。ベトナムで「現地の学校+日本人補習校」という組み合わせを選ぶのはベトナム人と結婚し、子どもの代まで当地で生活することを決めた日本人くらいだろう。

ホーチミン日本人学校。正式には「日本国総領事館付属商工会立ホーチミン日本人学校」となる。児童生徒数は年々急激に増えており、今年(2013年4月)から1年生は3クラス編成になり、新校舎を増築した【撮影/中安昭人】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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