8月24日(土)の日経夕刊のトップ記事は、「未成魚乱獲でピンチ~資源管理が急務に」という見出しで、わが国の漁業の現状に強い警鐘を鳴らすものだった。

 下関の天然物トラフグの取引量(2012年度)は、ピークの1987年度より94%少なく、記録が残る71年以来最低、またクロマグロの12年の水揚げ高は前年比6割減で、過去最低に近い水準とみられる。

 いずれも産卵前の未成魚の乱獲によるもので、トラフグの場合は、1~2歳の未成魚が取られるようになり、九州・山陰での水揚げは11年に266トン。これに対して、資源維持のためには漁獲を120~140トン程度に抑える必要があるとされる。またクロマグロの漁獲量の9割以上は0~3歳の未成魚で、以前は1匹100kg以上が中心だった日本海では今夏、3歳魚とみられる20kg台が多く水揚げされた。東京・築地市場では多くにセリ値が付かず、業者間で安く取引された、という。

 また、ウナギについても、乱獲でこのところ価格が高騰している。このまま推移すれば、わが国の漁業は将来どうなってしまうのだろうか。

わが国の漁業量は大幅な落ち込み

 まず最初に世界の漁業、養殖業の生産量(2011)を見てみよう。世界の漁業量は9460万トンでこの20年で10.1%伸びている(なお、中国を中心に養殖業が急増しており8373万トンある)。一方、わが国の漁業量は386万トンで、この20年の落ち込み幅は、主要国の中では一番大きいことがよくわかる(その次に落ち込み幅が大きいのはロシアである)。

ウナギ、マグロが食卓から消える日<br />――日本の漁業はどうなるのか表1 出所:2012年度水産白書より筆者作成