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アマデウスたち

上原彩子
人生が乗っかるから音楽は変わる

週刊ダイヤモンド編集部
【第87回】 2009年7月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
上原彩子
写真 加藤昌人

 1998年、チャイコフスキー国際コンクールで史上最年少のファイナリストとなった。「伝統の重み、憧れの大舞台のピリピリした雰囲気に圧倒された」が、4年後の次の大会は「勝ちに行った」。言葉どおり、日本人初、女性初の第1位という快挙を成し遂げ、プロデビューする。

 細くしなやかな指が鍵盤に降りた途端、聴衆はその演奏にすでに引き込まれていることに気づかずにはいられない。150センチメートルほどの小柄で華奢な体のどこに、そんな熱と力を潜めているのか。時に跳ねるように大胆に、時になだめながら慈しむように繊細に、刻む一音一音が結晶して豊かな音楽をつくり上げていく。

 なかでも「激しく、刺激的な」プロコフィエフの作品はチャイコフスキーのそれと同様、真骨頂だ。先鋭的な不協和音にちりばめられることによっていっそう際立つリリシズムを、歌うように表現する。幼い頃から憧れを抱き続けるアルゲリッチも、プロコフィエフの名演を数々残している。

 「ピアノは音域が広く、一人でも完結する、ちょっと独りよがりな楽器」。個性の強い名ピアニストが多いのはそのせいだろうか。

 演奏のときとは別人のような、おっとりとした物腰だ。平日は2歳の娘を保育園に通わせ、練習に励むが、「一緒の日曜日はピアノを忘れる」。

 母になって、音楽は変わったか。「人生が乗っかるから、音楽は常に変化していく」。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)


上原彩子(Ayako Uehara)●ピアニスト 1980年生まれ。ヤマハ音楽教室の3歳児コースから入会。92年ドイツのエトリンゲン国際青少年ピアノコンクールA部門第1位。2002年日本人初、女性初のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門第1位。

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