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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

経営の失敗を認めず、金の無心ばかりのビッグ3に「自主再建」は可能か

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第55回】 2008年12月5日
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 ビッグ3と称された盛期の勢いはなく、デトロイト3(D3)と見下される立場に凋落したゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの米自動車大手3社は2日(米東部時間)、米議会に、相次いで“再建計画”という名前を冠した文書を提出した。

 それらに共通する特色は、なんとか政府の救済を受けようとして、あの手この手の媚びを売った点だろう。これまで再三の批判にも手放そうとしなかった経営陣の高額報酬のカットだけでなく、高コストの自家用ジェット機の売却を盛り込んだことは目新しい。

 しかし、その一方で、この種の再建計画において最大の肝と言うべき、いったい何故このような深刻な危機を招いたのかという原因の追究がほとんど盛り込まれなかったのは問題である。その結果、当然と言えば当然だが、今回の危機の解決に必要な施策について随所で突っ込み不足の内容にとどまったのだ。

1ドル報酬にも応じる姿勢で
懸命のワゴナーGM会長

 仮にD3に公的支援を行わず倒産させる選択をすれば、世界経済と雇用に与える影響の大きさは計り知れない。とはいえ、名ばかりの再建計画しか担保に取れないまま、勝算の乏しい計画に税金を注ぎ込めば、米国民の反発が避けられない。世界規模で過剰な生産調整を阻む懸念も存在する。板挟みの中で、米議会があえて世論を敵に回す危険を冒して支援を決断するリスクをとるのかどうか。事態は予断を許さない。

 11月半ばの公聴会で上下両院の説得に失敗して、250億ドルの金融支援を取り付けられなかったD3の窮状は深刻さを増すばかり。GMのリチャード・ワゴナー会長は2日の“再建計画”の提出にあたって、ヘンダーソン社長と電話記者会見に応じ、政府の支援の必要性を懸命に訴えた。

 「(政府以外に)資金調達先は思い当たらない。先行きは不透明で、(政府の支援がなければ、)危険な状態に陥る」と。

 そのうえで、4年連続の巨額の最終赤字が確実にも関わらず、カットを拒んできた高額報酬についても、

 「受身になっているという批判はもっともだ。だが、(先の議会の)公聴会で(努力不足のままでは)支援しないとのメッセージを受け取ったのだから、それに対応するのは当然のこと。ただ、(具対策としての)1ドル給与は、議会の指導があったわけではなく、GMの取締役会が独自の判断で決めたものだ」と、説明。遅まきながら、懸命の自助努力を訴えた。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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