「『今、何のために、中国語を学ぶか(教えるか)?』ということを、より真剣に考えているこの頃です」――先日、そんなメールを頂いた。

 送り主は高校生や、大学の第二外国語選択の学生を対象に中国語を教える講師のAさん。ムリもない。昨今は世間で進む「中国離れ」が、学生の「中国語離れ」に大きく連鎖しているのだ。実際に、Aさんが教える高校でも昨年、中国語を選択する学生が大幅に減った。

 中国語といえば、つい最近までは英語に続く「必須の言語」でもあった。2年前、週刊ダイヤモンド新春号で「今年こそ 英語&中国語」を特集したように、中国語を攻略することがビジネス成功のカギだと受け止められていた。だが、今、学生は自分のキャリア設計に中国語をなかなか取り込めないでいる。

ほんの数年で激変
教育現場での中国語のポジション

 ひと昔前なら、中国語をやれば自分の未来もそこそこ開けた。中国語をマスターしたおかげで事業を成功に導いた例もある。だが、最近は「中国語が若い学生たちに与えられる夢がなくなってしまった」とAさんは語る。

「英語以外の外国語」を授業として導入する全国の高校はおよそ2000校。うち、「中国語」の授業を開設する高校は831校もあったという(2009年時点)。にもかかわらず、日中間の領土を巡る言い争いを発端にした対中感情の悪化は、確実に学生たちのモチベーションの低下をもたらしている。

 これには、学校側にも無視できない要因がある。高校の第二外国語は学校行事で潰れることが多く、たかだか週1回2コマ程度の授業では十分に力を伸ばすことができないという壁に突き当たる。これは、長年にわたって日本の第二外国語が抱えてきたジレンマでもある。

 また、大学では別の事情がある。都内の某私大では、こんな発言がまかり通っていた。

「相手はお客さんなんだから、やり過ぎないでくれ」――。