1. GDPは2倍に伸びる

 第1の要素は、GDP成長です。中国の第11次5ヵ年計画が規律する2006〜2010年の5年間のGDP(国内総生産)成長率の平均は、11.2%でした(第12次5カ年計画の発表内容)。また、中国の2011年のGDP成長率は9.3%、2012年は7.8%(速報値)でした(その後発表された2013年上半期速報値は7.6%)。

 今後この成長率は徐々に低下し、従前のような2ケタ成長を記録する可能性は極めて低いと考えられます。ただし、中国共産党第18回全国代表大会で掲げられた「2020年のGDPを、2010年比で倍増させる」という数値目標、すなわちこの期間中は年平均7.2%の成長を維持する目標は死守するでしょう。

 ここで注意すべきは、中国国内の政策目標としてGDP数値に言及する場合、米ドルではなく人民元ベースで「2倍」という数字がはじき出されている、という点です。したがって、米ドルで表示されるGDP数値を語る場合、2024年までの予測として、人民元が米ドルに対して継続的かつ相対的に強くなっていくと予想するならば、この為替変動効果がGDP数値の成長を基礎づけます。

 なお、今までのところ、共産党が数値目標を発表する場合、それは中国人民に対する必達目標であり、過去いずれも前倒しで実現されてきたことから、若干の余裕を見ているのが通例です。

 王岐山副総理に代わって経済政策の主導権を握った李克強国務院総理は、2013年3月の就任会見で、「GDP2倍の目標達成は決して容易ではない」という慎重な見方を示したものの、実際には、ありとあらゆる手段を駆使して、前倒し実現を目指すものと予想します。