株式レポート
8月29日 18時0分
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不確実性の高まりと投資機会 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来週の重要経済指標、主要企業決算についてPDF版のレポートで解説しています


今週、シリア情勢が一挙に緊迫化し、それが伝えられた26日(月)のNY時間の夕方から米国株が急落。その後各国の株式が売られ、そして「リスク資産」として新興国通貨の売りに拍車がかかる展開になっている。

中東情勢の今後の展開や、そして原油価格を含め経済活動にどのように影響するかを予想するのは難しい。そうすると、「何が起こるか分からない」という、市場の不確実性が高まりリスク資産のポジションが減らされ、価格下落が起きる。

8月19日レポートでは、米国など先進国株が調整気味な一方、中国、ブラジルなどの株式市場や、銅などの商品市況が反発しているこを紹介した。このレポートを発表した後、米国の経済指標などに大きな変化がない中で、「シリア情勢」という予期し難い事態が訪れ、先進国株の調整が続いている。

先日レポートで紹介した、中国やブラジル株を確認すると、今週はさすがにやや調整しているが7月末がボトムだったことには変わりない。それは、銅などの商品先物市況、鉄鉱石などの資源価格も同じである。そして、8月分の中国、欧州の製造業の企業景況感指数が改善した。これらは、新興国を含めて世界的に製造業の生産活動が回復に転じていることを示している。


株価のフェアバリューを決める企業業績は、世界の景気変動でほぼ決まるが、これが夏場に入ってから上向きになっていることは変わりない。そうした中で、マーケットが「不確実性」を材料に値が動く時というのは、投資機会のチャンスである。ただ、7月22日レポートで述べたが、日本株については「消費増税への懸念」というより大きな問題があるので、他のマーケットと別に考える必要があるだろう。

また、今週のように市場が混乱すると、「米FRBの量的金融緩和に対する思惑」も株式市場の悪材料として挙げられる。ただ、米10年金利は、8月になってから上昇傾向が続いている(グラフ参照)。FRBの量的金融緩和縮小がほぼ織り込まれ、政策変更後も米景気の回復が続くことを見越した水準まで、(債券が売られて)長期金利が上昇する格好となっている。


今週、米国株安で、米金利もやや低下したが、米経済正常化を織り込み長期金利が上昇する趨勢は変わっていない。これは、新興国を含めた世界経済の正常化を、米欧の債券市場が織り込んでいると言える。今週のようにマーケットが荒れると、QE3縮小開始への思惑という別の不確実な事象が悪材料としてメディアで報道される。それよりも、「景気悪化などの真のリスク」を判断する材料として、最近の米債券市場の動きがより確かな指針になる。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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