東京の駅の売店で売られている夕刊の見出しを見ていると、中国経済はこの1年の間にすでに数十回破綻したかのような印象を受ける。

 だが実際はバブルは破裂していない。むしろ膨張を続けていることが心配される。友人の上海人が、市内のいい場所に持っていた100平方メートル強のマンション(日本の基準なら80平方メートル台)を8月中旬に売りに出した。希望売却額は10年前の購入額の5倍だったが、十数件の買い希望が即殺到。結局やや値を引き上げて円換算9000万円前後で売れたが、この話を上海で聞いている最中にも「もう売れてしまったのか」との問い合わせが携帯電話にかかってきていた。

「世界最大級」をうたう総建築面積48万平方メートルの超巨大ショッピングモール「上海環球港」が7月に上海市内の金沙江路駅そばで開業した。参考までに、ロンドンのハロッズの店舗面積は9万平方メートル、ニューヨークのメイシーズは11.1万平方メートル、東京の銀座三越は8.1万平方メートルである。

 環球港をのぞきに行ってみたところ、平日にもかかわらず、結構客が入っていた。「世界最大級」という触れ込みが効いている。H&M、GAP、DIESEL、Fossil、ユニクロ、MUJIといった新中間層狙いのブランドが多数入居。福島のスポーツ店Xebioも大規模店を開き、地下1~2階には英系スーパーTESCOがあった。店内の案内図を見誤って反対方向に歩いてしまうと、目当ての店へ行く気がなくなってしまうほどの広大さである。