金融機関にとって、これから起業する人への融資は、事業がうまくいかない人が多いだけに、非常にハイリスクで判断が難しいものです。とくに、収支見通しは予測に過ぎないので、その数字の根拠が納得できるかどうかが融資可否のポイントとなります。

 このノートには、地域の人口の年齢構成など介護事業に関する市場分析データや、競合となる施設の詳細な調査結果も記録されていたことから、収支見通しを算出する根拠について、「これでもか」というほどの説得力がありました。

 審査する立場だった私は、綿密な準備の軌跡が見えたので、事業計画書に書かれた収支見通しも実現可能性が高いものだと思うようになったのです。その結果、首尾よく融資OKとなり、この起業家は事業を開始することができました。それどころか、今や地域内の同業種で1、2位を争うほどの企業に成長しています。

 このように、最初はプランがあやふやで迷っているような人でも、「起業ノート」をうまく活用することによって、起業を実現し事業を繁栄させることができるのです。

 もっとも、単に起業に至る過程を日記のように記録するだけでは意味がありません。起業前に行っておくべき事前準備をあらかじめ決め、それに基づいた行動を行っていくために「起業ノート」をつけることが肝要です。

あなたが使いやすい「ノート」を選びましょう

 さあ、あなたが起業を考えているなら、さっそくノートを選びましょう。

「起業ノート」として使うノートを準備することが、起業実現に近づく第一歩です。使うノートについては、「これでなくてはいけない」というような決まりはありません。かといって、簡単に妥協して選んではいけません。あなた自身のこだわりを反映させて、もっとも使いやすいものを選ぶ必要があります。

 ノートを選ぶときには、とくに次の点を満たすことを意識してください。