法人企業統計:
安定したデフレ脱却を
見通す上で欠かせない統計

 直近発表された7月分CPI(消費者物価指数)は、生鮮食品を除くいわゆるコアが前年比+0.7%と2ヵ月連続で前年比プラスとなった。しかも、プラス幅自体も大きくなっている。

 こうした中、デフレ脱却の論点として、物価が上がるかだけでなく、物価に負けないスピードで賃金が上昇できるかが重要性を増している。これを考える上で極めて重要な統計が、今週財務省から発表された。4~6月期の「法人企業統計」だ。

売上高:
底打ちが明確に、
ただし業種間の広がりを欠く

 4~6月期の民間法人企業の売上高は、前年同期比-0.5%(1~3月期同-5.8%)と5四半期連続で前年割れとなった。しかし、マイナス幅は大きく縮小し、売上高が前年割れする時間帯は終わりに近づいている(図表1参照)。

賃金上昇のタイミングを左右する「ダム論」<br />~ 「損益分岐点売上高比率」が鍵 ~<br />――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト